第1部 甦る英雄の影
第1章 人狼部隊
轟く者
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んだからさ」
「愚痴は後にしなさい。まずは隊長の救援に行きましょう。アンドレとフィオネはここで待機、さらに捜索を。後は陽動隊と合流し守備隊を殲滅します」
「さ、急ぎましょう。時間もありませんから」
エルンストに 急かされ、6人はアンリ隊のいる正面口目指して進む。
・ ・ ・ ・
「やはり火器は帝国の物の方が使いやすい。ガリアの銃は火力が足りない」
「ベルトリンク式機関銃なんてどこで入手したんですか。しかも銃身が焼け爛れるまでフルオート掃射って……」
「オラトリオ鉄橋で拾った。使えそうだから予備パーツと弾薬を回収したんだが、問題があるのか?」
工廠の正面は歩兵の亡骸と戦車の残骸で埋め尽くされていた。キャンプや民家は無惨に破壊され、瓦礫と瓦礫の隙間から血が流れている。アンリは機関銃が気に入ったのか、ありったけの弾薬ベルトと銃身のスペアを回収していた。『ヴェアヴォルフ』ではいつでも補給が受けられる訳ではないので、時には帝国の物資を奪うこともあるが、これは異例であった。
「で、これが帝国の新兵器か……デカイな」
「デカイってもんじゃねえ。こいつぁちょっとした要塞だ」
「なるほどね。そのための新型車両ってわけ」
「これ、戦艦の主砲より大きいですよ。こんなので砲撃されたらファウゼンは……」
新兵器の設計図とマニュアルを回収したノーデス姉弟はディーゼルや問題の新兵器―80p複線列車砲『ヘルヴォル』を調べている。陸上で最大級の火力を持つ列車砲の系統でもこれを上回る物は存在しないだろう巨大さだった。
なるほど、帝国が必死になって死守しようと重装部隊を配置したのもこれならば納得である。マニュアルが正しければ、ファウゼンに至る各地に築かれた多数の要塞を結ぶ防衛ライン『マジノ線』を破るだけの破壊力と、その巨体に似合わぬ高速移動が出来るがある。
マルギットと今後の指針を話し合い、アンリは部隊に指示を出す。
「よし。装甲車の物資をこっちの車両に移そう。戦車はそこの台車に、車両を動かせる者はトラックをここまで寄越すんだ。明日にはファウゼンへ向かうぞ」
「輸送車は破棄だな? 爆破しとこうかい?」
「頼んだガイウス。さぁ、行動開始だ!」
隊員は各自離散し移動準備を始める。
アンリたちが列車砲と共に工廠を去ると、死屍累々のリディツェ村は三台の輸送車によるラグナイト爆発にで跡形もなく消し飛ぶ。住民は1人残らず殺害された廃村は、この日、昇る太陽に見送られて地図からその存在を消した。
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