第1部 甦る英雄の影
第1章 人狼部隊
轟く者
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には戦車と重装歩兵、開発してるのは明らかに巨大兵器……厄介なことになる。このまま直進すればどの辺りに出る?」
「村の横手だが、逃げ道が無くなるぜ?」
「……良くないな。重装歩兵は戦車砲か対戦車槍でないとまず対処出来ない。完全な奇襲に適した道はないのか?」
近辺の地図に情報を書き足していくアンリの脳内では、奇襲して混乱したところへ別動部隊を突入させるか、隠密行動で兵器を奪取するかの2択だった。戦車の輸送も考えれば最善は前者だ。
「小川があるんだが、そこは草だらけで視界が悪い。そこからなら見張りに気づかれないと思う」
オラトリオ鉄橋の陥落は近いうちに帝国へ伝わる。サンマーユが保身のために部下のクメールを鉄橋基地の司令に売ったからだ。必ず処刑する代わりに身柄を解放するという愚行がアンリたちに焦りを与えていた。
「ここで悩んでいる余裕はない。私が指揮する5人とマルギットが指揮する8人に部隊を分ける。カサブランカの主砲で戦車、対戦車兵で重装歩兵を足止めしている隙にマルギット分隊が奇襲をかけてくれ」
「隊長、1つ提案があります」
物陰で俯いていたアンドレが手を挙げる。いつも穏やかに微笑んでいるが、アンリには薄笑いに見えて不愉快なものがある。
「何だ」
「この時間は僕は単独で行動した方が動きやすいので、僕は1人で工廠に潜入させてください」
「それは出来ない。君はマルギット分隊に加わるように」
実力を把握できない今、戦死率の高い単独での潜入許可を出せるほどアンリは大胆ではない。それに、人員不足のガリアで『ヴェアヴォルフ』に相応しい人材が見つかるとも限らない。戦死者を出さないことが最優先の彼女なりの、隊員への気遣いである。キャンプを撤収し、アンリたちは夜を待って作戦を開始する。
・ ・ ・ ・
カサブランカの51口径125o主砲が次々に帝国重戦車の装甲に穴を穿ち赤い炎に包む。自動装填式の徹甲弾と螺旋回転で空を切る対戦車槍が重装部隊を壊滅に追い込む。機動力に欠けた重装歩兵は、かつて帝国で一般的だった重装兵と呼ばれる分厚い鎧に身を隠した防御特化の兵士に盾と小型の重機関銃を持たせたものだ。並の兵器では破れない鉄壁に貫通性の高いカサブランカの30o機関砲とランカーが襲い掛かる。
動きの鈍い重装歩兵は逃げようにも逃げられず、無慈悲に鎧と身体を蜂の巣かミンチにされていく。
「不味いぜ隊長、突撃兵が来やがった!」
「任せろ。迎撃する」
「ちょいと待てよ! いくらなんでも―」
土嚢の影から身を現し、アンリは帝国のベルトリンク式機関銃の引き金を引く。従来の弾倉から弾を送るタイプより長時間連射可能になる新しい機構の機関銃は反動も凄まじく、並の兵士ではまず扱えない。
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