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東方小噺
天の少女の厄払い
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あろうとした親に恐らく少女は切られたのだろう。
 あの娘は阿呆だ。道理を理解できぬ狂人だ。叱って分かるものではない。赤子と同じ。罰する相手ではなく憐れむ者だと、そうされたのだろう。
 少女がこの場にいるのもそうだ。天に閉じ込められず、雨とともに自由に地に降り、そして緋想の剣と思わしき物を持っている。叱られてそんな事があろうか。
 少女は堪えただろう。
 蔑む周囲を嘲笑い、心で泣き、そして彼女の前に現れた。
 
 かつて少女が言っていた言葉はきっと、そんな自分の現状への憤りだったのだろう。
 望まぬままに天へと登り、変えられぬ生まれに蔑まれる。
 そんな現状を諦めたくなかったのだろう。動けば変わるのだと、そう信じたかったのだろう。
 変えられぬ不幸を誰よりも知り見てきた彼女に、少女はそうだと言って欲しかったのだろう。
 拙い論を並べ、勝ち誇りたかったのだ。

 彼女が望んだ不幸とは、そんな状況を壊すものを望んでいたのだろう。
 自らの足場を崩し戻れぬ何かを。

 ならば何故泣くのか。
 それはきっと、見たくなかったものを見たから。

 子は帰る場所があるのが当然だと信じるものだ。そして親は最後には自らを愛してくれると。
 それは余りにも当然に心に染み付き、改めて見返す思いではない。少女はそれを、心の底を崩された。
 自らが望んだ不幸で崩した。
 不幸というものを見誤り、そして己の幼さを知ったのだろう。

 ふいに彼女は少女を酷く哀れに、そして悲しく思った。
 この結末を彼女は知っていた。あの驕りを消せればと望んだことなのに、その終わりを見せられ心は揺れていた。
 慰めようと思えど何を言えばいい。その不幸はきっと己が与えたもの。
 そして彼女の手ではその頭を撫でることも、濡れた頬を拭うことも許されぬ。

 そこでは濡れる、樹の下に来いと声をかけるが反応はない。
 服が汚れぬようにと敷いていた古新聞から尻を離し、少女は立ち上がる。

 私が邪魔なら去ろう。雫を拭う布も置いていく。
 そう話す彼女に少女はお前はどうするのだと問う。
 彼女は抑揚もなく、ただの事実を告げるように少女へ言った。
 濡れることはかまわぬ。私が居てはこれぬだろう。気にするな直ぐに消える。当然のことだ。

 答えは返ってこない。
 彼女は黙って自分の荷物を片付けていく。竿を仕舞い魚を入れた桶を持ち、少女のために持ってきていた柔らかな布を近くの枝に掛ける。
 気に食わない。
 小さな呟きが聞こえた。
 彼女が振り返った先、少女が剣を構えていた。

 何故当たり前と自分の場所を空け渡す。悔しくはないのか、悲しくはないのか。定めと受け入れず変えようと思わぬのか。
 仕方なきことはある。それをお前も知ったろう。否、知
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