天の少女の厄払い
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不幸。
それは誰もが嫌い足を遠退けるもの。
運に見放されるというモノは大凡、人がどうにかできるものであない。
人は何かを望むのなら手を伸ばすしかない。
積み上げるものが努力であり、その土台が才能だろう。
幸せとは何かと問われれば、それは欲求の形だろう。
パズル、或いは山と言ってもいいかも知れない。
それは誰かを守ることかもしれない。
長年の夢を叶えることかもしれない。
それを探し求める行為の可能性もある。
人によって様々な、時には歪で歪んだ形の、その人にしか理解できない一つの画。
一つ一つ欠片を積み上げ嵌め、完成の形を思い描く。
どんな形か想像できる。何を嵌めればいいのかが理解できる。
その『形』が正確であれば、『理解』が深ければ道は短くなる。
理解の『深さ』が『努力』であり、『仕方』が『才能』であるとするならば『運』とはそれを得るための『機会』であり『幸せ』への近道。
ならばこそ『不』平等な『幸』せとはそれを得る事が出来ない『不運』。
誰もが持つものを持てない。
誰もが得られるものを得られない。
それを手にする機会さえ奪われる。
努力を嘲笑われ、不才に泣き、廻り会うことすら出来ない。
初めからパーツが足りない。人が足掻いてどうにかなるものでない。
だからこそ誰もが忌み嫌う。
鍵山雛はそんな不幸を起こす厄を纏う神だ。
彼女の周りではどんな存在であろうと不幸に見舞われる。
例外は唯一、彼女自身だけ。
厄神様と、そう彼女は呼ばれている。人や妖怪、果ては神さえも犯す不幸。
それを厄として身に集め、その不平等を引き受けるから。
傾ききった彼女の天秤に捌け口を無い。絶えず彼女の周りに漂っている。本来見ることさえできずその偏りが人の目に見えるほどに。
彼女に近づくものはいない。
高きが低きに流れるように偏りは均衡を求める。偏りきったそれを受け止めたくないから。
彼女はいつも一人だ。
そしてそれを彼女自身甘んじて受け止めている。例外であろうとただ偏りの先が自分を向かぬだけ。その天秤を、厄を操ることなどできない。
それは彼女が望まれ、そして受け入れたあり方。
人が決めた厄を、あると信じられた偏りの受付先。
身代わりとして水に流す飾り雛。外に流すことなど初めから与えられていない。
語ろうと近づけば不幸を撒き散らし、生まれ(在り方)の変更は死を意味する。
抗えぬ理不尽さを不幸と問うならば、彼女自身が不幸かのしれない。
抗えぬと嘆く不平等を不幸と言うならば、あるがまま受け入れた彼女は幸福なのだろう。
迷い人がいれば道を教え、不幸を知れば厄を集め、嫌われながらも救われる存在にただ
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