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ソードアートオンライン VIRUS
尾行者
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が、それでも答えない。もういいやと思い、手を離そうとすると同時に相手の付近でウィンドウが開く音がする。そして目の前にはウィンドウが展開されている。しかし、自分が出したわけではないので内容は分からない。

「早く離す……じゃないと押す」

 その声はどう聞いても確実に女性のものだろう。この世界に女性がいるなんて珍しいなとか思っていると先ほどの押すと行った言葉に引っかかった。

(押す?このウィンドウのボタンのことか?指も振ってないで出たウィンドウなんて警告ぐらいしかないだろ。脅すようなことなんて……)

 その瞬間、自分の頭の中であることを思い出す。それはSAOはもちろん、どのVRMMOにも設定されているはずの警告だ。それは男性が女性に対してハラスメントを働いた場合に出てくるものだ。

 最初はそこまで気にせずに戦っていなかったため気付かなかったが先ほどなどの声でこの人物が女性と言うことが分かっている。そして自分の目の前にあり、尚且つそれに指を伸ばして自分には見えないボタンを押そうとしている少女は確実に自分をこの世界にいるための存亡を賭けたものを押そうとしている。

 その瞬間、素早く手を離して一定の距離離れた。

「おい、もしかしてそれ……ハラスメントコードとか?」

 そう言うと首を盾に振った。その言葉を聞いて背中に冷や汗が滝のように流れ始めたような感覚を覚える。そして、その少女はそのウィンドウのボタンを押そうとする手を止めない。

「ちょ、ちょっとまて!何でつけられていた俺がこんな仕打ちを受けなきゃなんないんだよ!?」

 さすがにこの状況はおかしい。自分は尾行されてたからその人物を少し説教のつもりである程度痛めつけようとしただけなのに、その人物が女性でハラスメントコードを押さそうになっている。そして押されてこっちがバンされたことをキリトたちが聞いたら笑い転げるだろう。だが、自分はまったく笑えない。

「一回話し合おう。さっきのことは俺が全部悪かったから、な?それでも駄目なら何か奢るからそれでチャラにしてくんない?」

 ここはもう交渉するしかない。ここに来てまだ一時間も経っていないのにこれでアバターをバンされたらALOで今まで頑張ってきたことも無駄になる。最近、ようやく魔法の熟練度がMAXになりそうなのにここでやられたら終わりだ。

 少女はしばらく考えた結果ウィンドウのボタンを押した。その瞬間ビクッとしたが特に何も起こらなかったのでホッとする。何とか許してもらえたことに胸を撫で下ろした。

「……鍋」

「ん?」

「鍋を奢る」

 なぜ、この少女は鍋を頼む?というよりもこの世界に鍋というものは存在するかが分からない。だが、それで許されるなら安いものだと思い了承する。

「わかっ
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