裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、そっと部屋を後にする
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人の部屋を訪れたというわけだ。
と、ここまでは特に問題はなかった。
リリアが部屋に来たのはアルゴよりもだいぶ前だったし、肝心の武器制作も、苦労して鉱石を入手しただけあって、かなり高性能なものが出来上がったらしかった。
ランダム要素も含まれるSAOの鍛冶システムにおいて、一度で期待通り───否、それ以上の武器が出来るというのは、なかなかに運がよかったといえるのではないだろうか。
……ところが。
なんとも間の悪いことに、前の仕事が予定よりも早く終わったというアルゴが、予定よりも早い時間に僕たちの部屋まで来てしまった。
期待以上の成果にテンションが上がり気味だった僕たちは、アルゴの声を聞いて反射的に入室許可を出してしまい───そして、今に至るというわけだ。
「オイラはユー助のことなら何でも知ってル!それこそ、人に言えないことまでナ!」
「はっ!俺だって昨日の夜───おっと、こいつは言えねぇな。俺とアイツだけの秘密ってやつだ」
「!?おいおまえ、ユー助に何したんダ!昨日の夜ってなんダヨ!?」
「はぁ?オマエに教える義理はねぇだろ!」
「ユー助!この男とどういう関係なんダ!オイラよりもこいつを選ぶのカ!?」
「教えなくていいぜユノ!精々嫉妬させてやれ!」
どうでもいいけど、二人とも少し声を抑えてくれないだろうか。
SAOの宿屋は基本的に防音機能を備えているけれど、叫び声《シャウト》に至ってはその限りではなかったりするわけで。
要するに、この言い争いは全部、他の部屋に泊まっているプレイヤーにも筒抜けなわけで。
おまけに最前線であるラムダの宿屋には、攻略組を含めた多くのプレイヤーたちが泊まっているわけで……。
「僕、やっぱり人前に出れないかも……」
「………」
「……ん、シェイリ?」
この会話を聞いた人たちから、僕はどう思われてしまうんだろうか。
そんなことを考えながら軽くブルーになっていた僕は、何やらシェイリの様子がおかしいことに気が付いた。
気が付いて───しまった。
「………」
「あの、シェイリさん?その新しい武器をどうするおつもりで?」
シェイリが無言のままストレージから取り出したのは、刀身の鋼に朱色の絵具を混ぜたような禍々しい色合いの両手斧。
ついさっきリリアから受け取った、シェイリの新しい武器だった。
固有名、《ブラッド・リッパー》。エクストラ効果、人型・不死系モンスターに対して5%の追加ダメージ。
このタイミングでそんな武器を取り出して、彼女がこれからやろうとしていることは、ひょっとして───いや、大体想像はつくけれど。
「大体おまえは初めて会った時から気にいらなかったんダ!さっさと黒鉄宮送りにすればよかっタ!」
「それはこっちの台詞だっつの!オマエみたいな暴力女なんざ願い下
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