暁 〜小説投稿サイト〜
とあるβテスター、奮闘する
裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、お願いする
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ととなった。
自分で指定した約束の時間を二時間も過ぎてしまっている上、彼から送られてきたメッセージをも全て放置していたのだから、当然といえば当然だ。

「遅れてごめん。ちょっと色々あって」
「……フン、まあいいさ。俺もちっとばかし疲れたからな、今日だけは大目に見てやるよ」
「え……」
二人して爆睡してました───なんて流石に言えるはずもなく、あれから色々あったということにして(僕的には事実だけれど)まずは謝ると、リリアは意外にもすんなりと許してくれた。
本当に───意外だ。
彼の性格からして、ここぞとばかりに罵られるだろうと思っていたのだけれど。

「……何かあったの?」
「あ?どうしてそう思うんだよ?」
「いや、何か妙に大人しいからさ。……もしかして、アルゴに怒られて落ち込んでる?」
「ちげーよ」
うーん、やっぱりおかしい。
妙に大人しいというか、リリアにしては口数が少ないというか。
それだけ本気で怒っているのかとも思ったけれど、そういうわけでもなさそうだし。
彼は違うと言うけれど、僕たちが爆睡している間に何かあったとしか思えない。

「別に、大したことじゃねぇよ。ただ───」
「ただ?」
「少しはオマエらに感謝しねぇとなって、思っただけだ」
「へ?」
予想外の展開についていけず、間の抜けた声を出してしまった。
感謝。ありがたいと思う気持ちを表すこと。また、その気持ち。

「えーっと……感謝って?」
「あ?そのままの意味だが?」
「そう言われても……」
いや、本格的にわからないんだけど。
そのままの意味と言われても、感謝されるようなことをした覚えはないし。
むしろ投剣でボコボコにしたり、ゾンビの大群相手に先陣を切らせたりと───正直な話、碌な扱いをしていなかったような気がするのだけれど。
……まさかとは思うけど、そんな扱いをされたことが嬉しかったと言ってるんだろうか。
ノックバックで地面に叩き付けられているうちに、それが快感になってしまったとか、そういったオチなんだろうか。
普通の人が相手なら、それはありえないと思うけど……リリアの場合、実の妹に対して結婚願望とか持っちゃってるような人だからなあ。
……となると、僕が暴走して投剣スキルを連発していた時は───まさか、途中から喜んでた……?

「………」
「おい、なんだその目は」
シスコンな上に、ドM。
ちょっと危ない人だとは思っていたけれど、まさかここまで───

「言っとくが、変な意味じゃねぇからな」
「……え?あ、あー、うん」
「……オマエ、俺がマゾヒストだとでも思ってたんじゃねぇだろうな」
「っ!?い、いや、そんなことはっ!」
「………」
こちらの心を読んだかのような突っ込みをされてしまった。
いつの間に他
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ