第5局
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くなってると思うし…。」
「囲碁ってどうやったら強くなれるの?」
―一番は強い相手と何度も打つことですね。
「確かに、院生の教室でもそんなこと言ってたっけなあ。あ、後、小さいころから教わっていた連中の話だと、師匠に弟子入りして、最初のころに結構定石を並べたって言ってたっけな。それで石の形を覚えたって。」
―なるほ…ど、弟子入りですか…
「ん?。どうした佐為。」
―あかりへの指導は、ヒカルだけがしたほうがいいのかもしれません…。
「え、佐為が教えちゃまずいの?」
―ええ、今後のことをふと思ったのです。この先必ず聞かれることがありますよね、あかりは囲碁を誰に教えてもらったのかと。
「…、そうだな。オレも以前はその質問には困ったもんな。なるほど、オレだけが指導していれば、あかりは正真正銘オレの弟子ってことになるか。」
「えっ、えっ?」
あかりには二人が話していることの意味がよく分からなかった。ただ、二人が真剣に自分のことを話しているということしかわからなかった。
「そうだな、あかりが上手く嘘をつけるとも思えない…。…、いや、あかりには嘘をつかせたくないな。ただでさえ隠し事をさせてるのに…。な、あかり、あかりはオレの弟子って事でいいか?」
「えっ、うん。私、ヒカルが私に打ってくれるならとっても嬉しいよ。」
「ははっ。よしっ、決まり。あかりはオレの弟子。ま、どこまで強くなるかは分からないけどなっ!」
「私がんばるよっ!」
―よかったですね、あかり。
「うんっ!」
「佐為もたまに打ってやってよ。ただし手加減なしの本気でな。解説はオレがするからさ。」
―そうですね、それくらいならばよいでしょう。
「やったー。ね、ヒカル、このおもちゃの碁盤、私がもらって帰ってもいい?」
「え、ああ、それな。オレ達はもうこの碁盤があるからいいよな、佐為。」
―もちろんです。むしろごめんなさいね、私達がいい碁盤を使ってしまって。
「いいのいいの。私が家に帰ってからも、二人は打ってるんでしょ。遠慮しないで。私はこっちで十分だから。今日から家でも、打ってもらった碁とか定石の本を見ながら、並べてみることにするね。」
その日から、あかりはヒカルの家で毎日1局自分で打つことになった。ヒカル指導碁と時々の佐為との対局。それがどれだけ贅沢なことなのか、あかりにはさっぱり分かっていなかった。しかし、あかりにとってヒカルの部屋にいる時間の大切さは、いっそう増していった。
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