第5局
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です、あかり。よろしくおねがいしますね。
これでいいのかと悩むヒカルをよそに、あかりと佐為は楽しそうにしゃべっていた。
すっかりふさぎこんでいたヒカルが明るくなり、ヒカルの両親も一安心した。そんな両親にヒカルは囲碁の道具をおねだりした。突然の囲碁道具のおねだりに驚いたものの、プラスチック製のおもちゃの囲碁道具を買ってくれた。おもちゃであればそれほど高いものでもなかった。それよりも、元気になったヒカルのことが嬉しかったのだ。
そして、それからは毎日のようにヒカルとあかりは囲碁で遊んだ。いや、遊んでいるように周囲には見えた。
実際は、ヒカルと佐為の対局だった。
最初のころは、ヒカルが一人で部屋で篭っていると両親は心配した。さすがに幼稚園児が自室に篭りっぱなしはまずいとヒカルにも分かった。そこで、あかりもひっぱりこんだ。あかりと一緒だと仲良く遊んでいるようにしか見えなかったからだ。それでヒカルは、あかりに悪いと思いつつ、ずっと付き合ってもらっていた。
いつ見られてもおかしくないように、あかりはヒカルの正面に座り、佐為があかりの後ろから差し示す手を、代わりに打つようになっていた。
小学校に入ると、囲碁を打っているだけでは親達がいい顔をしないようになってきた。あかりは気がつかなかったが、ヒカルは精神年齢が高かったので、さすがに周囲の反応が分かった。考えてみれば、遊んでいるとしか見えないのだから、仕方がなかった。
そこで、一緒に宿題をする時間も作った。
以前は学校の勉強なんてさっぱりだったヒカルだが、さすがに2回目となると違った。囲碁で培った集中力のおかげか、学校の授業の理解度も、以前とは段違いだった。小学校1年生の宿題など、ヒカルには楽勝だった。あかりに教えることもできた。
そして週末は特別な日を除いて図書館に出かけた。当然あかりも一緒だ。
そこでは、昔の棋譜を中心に、囲碁の本を読んだ。あかりには囲碁の簡単な定石の本だ。ヒカルと佐為の対局をずっと見ているうちに、あかりも囲碁のルールが分かるようになっていたのだった。
学校ではまじめに授業を聞いて、成績も優秀、大人なヒカルの影響で生活態度も良好、仲むつまじい二人としか見えないヒカルとあかりは、いつしか両家両親公認のカップルの扱いになっていた。
小学二年生にあがるとき、二人がずっとためていたお小遣いとお年玉で、足つきの囲碁道具を買った。喜ぶヒカルとはしゃぐ佐為、そんなヒカルを嬉しそうに見るあかり。そんなあかりを見て、佐為が声をかけた。
―そろそろ、あかりも打ってみますか?
「え、でも…。」
「…そりゃそうだよな、あかりも見てるだけじゃ詰んないよな…。ごめんな、あかり、そんなことにも気がつかなくって…。」
「え、いいんだよ、ヒカル。ヒカルは佐
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