第4局
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てのかい。」「できるの、そんなの?」
「進藤、本気か?一色碁はプロでも難しいんだぞ?」
「何だ、塔矢自信ないのか?んー、まあそれなら仕方ないかー。」
「誰が自信がないといった!いいだろう、そっちこそ後悔するなよ。」
売り言葉に買い言葉、あっさり一色碁での勝負が決まった。
−うーん、ヒカルも子供だけど、意外と塔矢くんも子供っぽいところがあるのね。やっぱり男の子なのねー。
ヒカルの挑発に簡単につられたアキラに、あかりも内心ちょっとあきれていた。
対局が始まった。先ほどとは異なり、周囲のざわめきは止まらなかった。
「ちょっと、このまま盤面真っ白になってくの?」「こんなの打てるの?」
盤面に向き合うヒカルとアキラ、そして真横で見ているあかりは、真剣な表情のまま、ただ盤面だけを見続けた。
盤上は布石が終わり、中盤に入り始めていた。すでに盤面はヒカルの白が優勢。だが、それがわかっているのはヒカル、アキラ、佐為、そしてあかりだけだった。
「広瀬さん、これどっちがいいの?」「いや、私なんかじゃわかりませんよ、北島さんどうです?」「…俺にもさっぱりだ。」
−そんな、ばかな!まさかここまで差があるなんて、嘘だ!
あってはならない事態に、アキラはうろたえていた。あれだけの碁を打つあかりの後に堂々と出てくるのだ。弱いわけがなった。油断など一切なし、最初から全力での勝負だった。なのに歯が立たない。どう見てもヒカルの棋力が上だった。
−…これが、…進藤ヒカルの碁…。
ヒカルの覗きがとどめとなった。アキラが予想もしていなかった切断。中央の石が浮いてしまっては勝負にならない。
「ありません…。」
アキラはうなだれながら投了した。
「ふー…。」
ヒカルは大きく息をついた。
「塔矢、これが今の俺の全力だ。」
「…進藤、君はいったい…。」
「塔矢もいい碁だったぜ。じゃ、いくぞ、あかり。」
「あ、うん、待ってよヒカル!」
そう言うと、ヒカルたちは走って出て行ってしまった。まだショックから立ち直れないアキラと、状況が飲み込めていない周囲の客たちを残したまま。
「進藤ヒカル…。」
アキラのつぶやきだけが、小さく零れ落ちた。
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