第四章
説教をしてみても内心彼はどうでもいい。
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
山くんの言う通り、やっぱり友達とのやり取りとかってかなり面倒だったかも……。桐山くんが「棄てる」なんて言うから、ちょっと考えちゃった♪』
「……うへ?」
彼女が絶対言わなさそうな発言は空を斬ったような衝撃と共に、俺の記憶と心に刻まれる。由比ヶ浜さんが「嘘」を吐いたんじゃないかと疑ったほどだ。……本当に嘘ではないだろうか?
だが、次の一言がここは現実であるという事実を突きつける。
「雪ノ下さんが言ったみたいに桐山くんが移ったのかも……」
彼女はへへへ、とはにかみながら笑って、明るく、アホみたいに笑顔を振りまいて去り際、俺の耳元に囁く。
『――全部、桐山くんのせいなんだからっ』
『……っ!』
ま、まあ、確かにね。それは俺のせいだよ、間違いなく……。いやはや、困ったな。
俺は頭を掻きながらトボトボと歩いた。
何だか妙に体が軽かった。またしても笑みが浮かぶ。……何だよ、何だよ!
少しだけだが本心から嬉しかったのは久しぶりだ。
そうして一時の満足感で職員室に向かい、先生から部室の鍵の置き場を教えてもらった。はしゃいでみたら平塚先生に嫌悪の表情でキモがられた。酔いが醒めた気持ちになった。
ところで明日は休日である。雪ノ下に散髪をしてもらう約束がある。……それにしても雪ノ下のやつ。俺の髪を切るためだけに奉仕部全員を呼ぶつもりなのだろうか。
「また気が滅入る……」
どうやら物語はまだ始まったばかりらしい。
俺は静かに教室へと向かい。長い長い昼休みを終えた。
騒がしくなくなったクラスの片隅で毛布にくるまり、コーヒーを飲んで、貰ったクッキーを食べた。
――ただ、読書はしなくていい。ただただ雷鳴が近づき、通りすぎて行くのを聞いているだけでも今だけは、ささやかな幸せを感じられた……。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ