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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第四章
説教をしてみても内心彼はどうでもいい。
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比ヶ浜さんの方を見た。ちょうど、比企谷と話が終わったところのようだ。
「お帰り、由比ヶ浜さん……」
「……うん」
「話は終わったみたいだね。面倒なことはもう無いだろう」
「うん、ありがとう。……でも、ちょっと無理矢理じゃなかった?それに自分のこと、完全に棚に上げてたし……。あれ、全部いい加減な考えでものを言ったでしょ!さすがに気づくんだから……」
 確かに適当なご託をだらだらと羅列しただけだったな……うん。

「あ、そうだ。クッキー食べるでしょ!えっと、食べるよね?」
「……あ、うん。一枚もらえるかい?おかげで昼食を満足に摂れてないんだ」
「……はい。このちっちゃいやつ!」
 由比ヶ浜さんは一口サイズのクッキーを袋から取り出すと、俺に渡してくる。
「どうも。……うん、おいしいね。ああ、何だか気が抜けるよ。いやー、それにしても由比ヶ浜さんには個性的なお友だちがいらっしゃるんですねー。……全く、金で買えそうな友情でしたこと♪」
「優美子とはちゃんと友達してるから!今日はたまたま――」
「あくまでも否定するか……。じゃあさ、百万円あげるから、俺と付き合ってよ、由比ヶ浜さん」
 俺は由比ヶ浜さんに軽々しく言い放つ。……まあ、何て返されるかは分かっているけどね。
 由比ヶ浜さんは優しげに微笑みながら、可愛らしく頬を赤く染めていった。

「やっぱり桐山くんは最低だね!……例え、一億円貰ったってダメだよ!?だって桐山くんは最高に気持ち悪いし、無責任だから!」
 思わず笑みすらこぼれる。否定されたって何だって、嬉しいと受け入れることもできるんだ。
「……ハッ。そうそう、分かってるね由比ヶ浜さん」
 由比ヶ浜結衣はとても面白い人間だった。そう、新しい価値観の誕生とは実に面白味にあふれているのだ。
 もう、決して由比ヶ浜さんは「誰かに似た誰かさん」ではなくなったのだろう。それはとても見ていて嫌な気はしないことであった。

「今日はありがと。あたし、困っちゃってて……。だって、大変だった……」
 そう言って彼女は目を瞑った。思い返しているのだろうか。泣きそうになった自分のこと、それを助けに入った比企谷のこと、追い詰められたところで颯爽と現れた雪ノ下のこと。……遅れてしゃしゃり出てきた最低な俺の登場を。

 外では雨はまだ降り続けていて、雨音は変わらず耳に残っている。遠雷はだんだんとこちらへ近づいて来る。……そんな中、俺は平塚先生のところに休日部室を使わせてもらう許可を取るという用事を思い出していた。
 なので一言告げて職員室へ向かおうとしたのだが、由比ヶ浜さんが発した予想外の言葉で俺は足を止めた。
「それにしても今日は正直、疲れたかも。……全然話とか聞いてもらえないし、そもそも何から説明すればいいか分からなかったし……。『桐
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