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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第12話 「……案内してもらおうか」
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 頬を流れ落ちる冷や汗を拭いもせず、盾二が呟く。
 その様子にも微動だにしない男が、目の前にいた。

「儂か? 儂はこの街を統べる者じゃよ」

 そういう男の姿は、老人にも、壮年にも見える。
 男なのか、女なのかもあやふやな姿。
 その太った姿に禿げ上がった頭部だけが年齢を感じさせる部分だった。

「…………統べる者、ねえ。この巴郡の太守である厳顔を差し置いて、か?」
「ふぁふぁふぁ……太守が街を統べるなどありはしない。いつでもころころと代わる職務など、統べる者とは言わぬ……そうではないかな? 天の御遣いよ」

 微動だにしないその姿は、まるでなにかの置物を連想させるほどだった。
 その男はテーブルに肘をつき、口元を隠すように手を組んでいる。
 視線すら盾二に向けているようには思えない。

(コイツ……)

 盾二は、その男の違和感の正体に、覚えがあった。

「確かにそうかもしれないな……だが、人が住む街は”人が”治めるものだと思うがね、俺は」
「………………」

 男は答えず、ただ沈黙した。
 盾二は、構えを崩さずに目を細めた。
 鋭い眼光だけが、男を見据える。

「俺はこれでもそれなりの遣い手でね。職業上、いろんな相手と戦うことになった。ライカンスロープ、思念体、超古代の狂戦士……は、バーチャルだったがね……そんな相手の中には、人形遣い、なんてのもいたのさ」
「………………」
「そいつは死体を防腐処理してサイコキネシスと魔術を併用させて、さも自分のように振舞わせていた。俺は先輩のリバースバベルの体験談と、自分の違和感からそいつの正体を見破って倒したんだが……」

 盾二のAMスーツが、バンッと膨れ上がる。
 その手には、サイコバーストの前兆ともいえる淡い光が宿っていた。

「お前の気配のなさは、さっきの達人とはまったく違う。完全無機質ゆえに俺が探れないもの――つまりは人形だ」
「…………ほう」
「隠れてないで出てこいよ。正直言うぜ。俺は、そういう輩が嫌いなんだよ。特に死んでまでいいように操られる……死体を冒涜する人形師はだいっ嫌いなんだ。でてこないならこの屋敷を消滅させるぞ」

 盾二の手が灼熱の赤色へと変わっていく。
 盾二の精神感応を全開にしたサイコエネルギーは、AMスーツの精神感応金属『オリハルコン』により、一千度を超える灼熱のエネルギーへと変換されて放出される。
 そのエネルギーは、現在はAMスーツのパワーフィールドに包まれてはいるが、ひとたびその手から放たれれば、その炎は現実の物理エネルギーへと変換されて大爆発を起こす。
 それは上位技である『マグナ』ではないものの、この屋敷を炎で包むには十分な力を持っていた。

「ふぁふぁふぁふぁふぁふぁ……」
「…
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