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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第12話 「……案内してもらおうか」
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「こちらでお待ちください」

 四人の男は、盾二を広い邸宅へと案内すると、長い廊下を歩いてゆく。
 しばらく歩くと、豪華な造りの扉を四人がかりで引き開く。
 その部屋の内装は、盾二を驚かせるものだった。
 中の内装は豪華の限りを尽くした造りとなっており、宮廷内のような調度品がそこかしこに飾られていたのである。

「どこのホテルだ、ここは……」

 思わず呟く盾二が中に入ると、その質問に答えることもなく、再度四人がかりで扉が閉められる。
 締め切られた扉を見て溜息をついた盾二は、調度品の品定めをするように飾ってある陶器の瓶のようなものに近づいて、じっと目を凝らした。
 
「うーむ……どっかで見た気もするが、よくわかんないな。考古学に詳しい御神苗先輩ならわかったかもしれないけど……」

 盾二が得意とするのは政治・経済・農学書。
 およそ実用的と思える分野にこそ興味があった。
 後は一刀に付き合わされた漫画やアニメの知識である。

 民俗学や考古学、歴史考察などについては、主に一刀のほうが得意とする分野だった。
 だからこそ、盾二にとって歴史は仕事に必要なものとして覚えている以上のことは知らないのである。
 後漢時代のことは知っていても、三国志演義などの文芸書には殆ど興味がなかったのはその為だった。

「そういや昔、一刀が何かのアニメで壷がどうとか……こう、チーンと鳴らして」

 そう言って指で弾こうとする瞬間。

「ふぁふぁふぁ……あまり行儀が良いとは思えぬな」

 ふいに部屋の中から声がする。
 ギシッと身を固めた盾二が、すぐさまその場を離れて部屋の中央へと移動して構える。

(……どういうことだ!? 今のはまったく気配がしなかった!)

 先程の四人とも違う。
 彼らには気配そのものはあった。

 周囲を探りながらその声の主を探る。
 相手はすぐ傍にいた。

 部屋の中にある円卓のテーブル、その席に一人太った男が座っていたのである。

(……まったく気配がなかった? (おぼろ)並だというのか!?)

 ここまで盾二が気配を感じない相手は、後にも先にも仙人を目指す朧一人だった。
 元々、精神感応適正がずば抜けて高い盾二は、周囲の気配を察知する術を身に付けている。
 それゆえに後の先という防御を重視しつつも、カウンターの一撃という戦法を得意とする所以でもあった。

 大抵の相手には互角以上に戦える自身のある盾二だったが、その唯一苦手とする相手もいる。
 それは、後の先を仕掛けるにおいて、最も重要である『気配を察知する』こと自体ができない相手だった。
 それは陰形(おんぎょう)の達人か、気配が希薄な存在か、それとも――

「……何者だ」

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