崑崙の章
第12話 「……案内してもらおうか」
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があるか知れたものではない。
特に紫苑には、あまり知ってほしくはないのじゃ。
できれば早いうちに州牧となられた劉焉殿に紹介して、それなりの地位についてもらおうと思っておる。
もし、この巴郡の秘密を知れば……きっと紫苑ならば、勝ち目のない戦いを起こそうとするはずじゃ。
それは友人を死地に追いやるも同じこと。
(わしは馬鹿でなくてはならん。焔耶を……そして紫苑を守る為にも、のぅ)
わしは一人寂しく笑う。
そして盃を傾けると、厨房から出てきた追加の酒と肴を持ってくる馬鹿が見えた。
―― 盾二 side 巴郡市場 ――
ふう……結局、起きたのは明け方になってしまった。
ずいぶんと寝入ってしまったことになる。
さすがに一日で三十以上の書簡を作成するのは、骨が折れた。
だが、その苦労の甲斐はあるだろう。
華佗に託した『お土産』の数々。
あれがあれば、俺が計画した漢中改造計画は、さらに発展する。
まあ、それを調整する朱里と雛里には申し訳ないのだが……
(……やっぱちゃんとしたお土産も持って帰って、機嫌とったほうがいいかなぁ?)
迷惑かけ通しだしなぁ……
そういやアーカムにいた頃、女性研究員と半ば強引に付き合わされた時に一刀に言われたっけ。
『女って奴は、物という形あるもの贈らないと、どんな気持ちも受け取ったことにしないもんだ』と。
あいつ、童貞の癖にやたらとしたり顔で言うから、『なに言ってんだこいつ』ってよく思ったもんだ。
けど、こと女性受けはあいつのほうがよかったんだよな……鈍感だから自覚なくて付き合うことなかったけど。
……まあ、俺もそうだったんだが。
俺の場合は、襲われたからなあ……
(酒飲んで記憶失って、気がついたらベッドの上で……ああ、いまだにあの夜のことが思いだせん。俺は本当に童貞失ったのだろうか?)
なにしろ、目が覚めたら猛烈に迫られて……泡喰らった俺が訊ねると。
『なによ。貴方が昨日の夜、思いっきり濃厚なキスして誘ったんじゃない』
……いや、ほんと。
まったく……ほんとにまったく覚えがないんだが……
はっ!? いかんいかん!
つまらないことを思い出してしまった。
とにかく、今は情報収集……っと。
俺は、市場を散策しながら物珍しい商品を見て回る。
一昨日は、ほとんどスパイスと食料品を駆け足で回っただけだったが、今まで見た街でも最大の品揃えだった。
今回は、食料品の他にも、衣類、家具、日用品、武器防具など様々な商品を見て回っている。
ぱっと見ただけでも、西洋からの流れを汲む品や、インド……今は身毒だったか。そことの交易品のようなものも見
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