崑崙の章
第12話 「……案内してもらおうか」
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は天然のたらしじゃな。
「こほん……まあ、華佗さんのことは急でしたけど、彼の意思ならば仕方ありませんわね。いずれまた会えるでしょうし」
「そうじゃの。調べてみると、やつの五斗米道とやらは、この周辺でも活動しておるそうじゃ。まあ医者の集団など、わしはまったく興味がなかったが……あれほどの力があるならば、少し考えを改めたほうがいいかも知れんな」
「医者でなく、医師とおっしゃっていましたね、盾二様は。医術というものがあれほどとは……わたくしも軽視していたかもしれませんわね。占いなどに傾倒する洛陽のことを笑えませんわ」
洛陽か……たしかにのう。
洛陽は、この国一番の都ではあるが、こと医というものは大陸全土で基本的に軽視されておる。
おまけに最近では、人が病になれば占いや祈祷によって回復させる、というのが洛陽で流行っておるとのこと。
まったく……占いなどで人が元気になったり死んだりするとはどういう理屈じゃ。
「荒唐無稽な話だと思っていたが……この国、最大の都がそのような状況とすれば、黄巾が乱を起こすのも無理ないことかもしれん。占いなどで国の行く末まで委ねるなど、正気の沙汰ではないわ」
「それに関しては、確かにそうかもしれないわね……不確かな占いなどに、政を任せた故の今の状況なのだから」
「それに関しては? お主、占いなどに見るべき点があるというのか?」
占いなど、ただの似非師の戯言じゃろうに。
まさか紫苑ほどの人物が、占いなどを信じておるとは……
「あら? 桔梗は信じていないの?」
「当然じゃろう。占いと占師などに国政を壟断されたおかげで、今のこの国の荒れようじゃぞ? あんなもの……」
「でも、盾二様を予言したのも、管輅という占師よ?」
「む……」
「そのお蔭で、わたくしも桔梗も助かったのですから、少しは信じてもいいかもしれない、と思っただけよ」
「むむむ……」
た、確かに盾二はそうかもしれんがのう……………………はっ!?
い、いや!
わしは占いなど信じん!
盾二は、現れるべきして現れたのじゃ!
そこに占いなどというものは関係ない!
「ふふふ……冗談よ。占いはあくまで占い。神格化するほどのものではないわ。それぐらいわたくしとてわかっているわよ」
そう言って、澄ました顔でくい、と盃を飲み干す紫苑。
こやつめ……
「お主まで神秘主義に浸るのは勘弁してほしいものじゃて。ただでさえ、この周囲は……んぐ」
わしは、つい口走りそうになる言葉を、慌てて飲み込む。
いかんいかん……わしが下手に論客ぶっては、聞き耳を立てるものに怪しまれる。
「どうしたの、桔梗?」
「いや、なんでもない……ささ、飲むとしよう」
この巴郡では、どこにやつらの目や耳
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