崑崙の章
第12話 「……案内してもらおうか」
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! もちろんです!」
この黄忠様という方も、古くからの桔梗様のご親友らしい。
ワタシが桔梗様に拾われる前からの中だそうだ。
実にうらやましい……桔梗様、ワタシにもご相伴させてほしいなぁ……
「ほれ、なにしとる。さっさと酒を持ってこんか」
「は、はい! すぐに!」
ワタシは急いで厨房へと走り出す。
は! そうだ! 急いで持ってこなければ!
「こらぁ! 埃をたてて走るやつがあるかぁ!」
「あらあら……」
急いで持ってこなければっ!
―― 厳顔 side ――
「まったく、あやつは……」
「ふふふ……あいかわらずのようですわね」
「困ったもんじゃよ。性根はまっすぐなのじゃが、如何せん力の加減を知らん。まったく……」
「あらあら。でも、そこがかわいいのでしょう?」
「…………まあのう。否定はしないでおくわい」
わしは誤魔化すように、ぐいっと盃を空けた。
くすくすと笑う紫苑が、わしの盃に酒を注いでくれる。
武人・黄忠の酌か。
ふふふ……悪くない。
「それにしても……華佗さんが、急に出立されるなんてなにかあったのかしら?」
「わしも詳しくは聞いておらん。ただ、昨夜遅くに盾二から紙と書簡を大量に注文されたんじゃが……どうやら、なんらかの指示が盾二から出された可能性があるの」
「あら……わたくしたちにも内緒で? 随分と……」
紫苑が、少し拗ねたような表情を見せる。
ふむ……後に続く言葉は『水臭い』かの?
なにやら華佗に嫉妬しておるようなそぶりじゃな。
「ふふふ……紫苑、気付いておるか? 今のお主、まるで恋する少女のようじゃぞ?」
「あ、あら?」
ふふふ。
紫苑の顔が一瞬にして赤くなりおった。
どうやら自分の現在の状況を客観視して、とたんに恥ずかしくなったようじゃな。
「お主も随分変わったものよ……劉表殿のところで山賊や江賊を震え上がらせた武人・黄忠とは思えぬわい」
「そ、そうかしら……そういえば不思議ね。盾二様とは、まだ出会ってから一月も経たないというのに……」
そういえばそうじゃったのぅ。
やつの凄さもよくわかっているのじゃが……なんというか、あやつの人懐っこさに触れていると、旧来の知人のような感覚を覚えてしまう。
それに……
コホン。
思わず顔が赤くなるわい。
やはり、あの夜のことを思い出すとな……
見れば紫苑も、顔を赤くしたまま手で顔を扇いでおる。
酒量などまだまだのはずなのにのう。
「考えることは一緒か……」
「……そうかしらね」
お互い、顔を見合わせて苦笑する。
まったく……わしらのような年上を少女に戻しおって。
やつ
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