最終話 新たな伝説
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った。護衛には十人程の兵士が付いてきてくれたが彼らの指揮を執ったのは何とゾンバルト准将だった。軌道エレベーターの下では黒姫一家の人間が出迎えに来ていたがゾンバルトはそこまで送ってくれた。
別れ際に俺と共にガンダルヴァで戦った事は一生忘れないと言っていた。まあ最後の戦いだし、あれだけ厳しい戦いは奴も初めてだろうからな。修羅場を共に切り抜けた、そんな思いは有る。俺も忘れることは無いだろう。妙な気分だ、ゾンバルトにそんな気持ちを持つとは……。奴にとってこの遠征がプラスになってくれたのなら良いんだが……。
生きているのだからプラスになったと思うべきなのだろうな……。最後にゾンバルトはオーディンに戻ったら兵站統括への異動願いを出すと言っていた。うん、これも悪くない。でも汚職にだけは手を出すんじゃないぞ、ラインハルトはそういうのを嫌うからな……。
帝国暦 490年 9月 15日 フェザーン カルステン・キア
ようやく親っさんが帰って来たぜ。フェザーンの軌道エレベーターの前には大勢の黒姫一家の人間が出迎えに来ている。オーディンからも辺境からもだ。総勢で五十名以上は居るだろう。俺達はオーディンで別れてから半年以上会っていないが爺さんなんかは親っさんが辺境を発ってからだから一年以上を会っていない事になる。
それにしても親っさんもとんでもない事をするよ。金髪の代わりにガンダルヴァで反乱軍と戦うなんて……、危ない事はしないと言っていたのに一体何を考えてるのか……。それでも勝っちまうんだからな、文句も言えねえ。……ヤン・ウェンリーよりも強いとなると親っさんってもしかすると宇宙最強かな。恰好いいな、宇宙最強の海賊か。
それにしても金髪がとうとう宇宙統一、銀河帝国の皇帝かよ、あのケチがねえ……。大丈夫なのかな、俺達は皆心配してるんだが……。まあ偉くなれば少しは人間にゆとりが出るかな、そうであって欲しいもんだが。皇帝になっても顔面真っ赤にしてプルプル震えたりするんじゃないぞ、みっともないから。
軌道エレベーターから親っさんが降りてきた。帝国軍の兵士と挨拶をしている、多分護衛だろう。俺達が親っさんに近付くと護衛の連中は去って行った。
「御苦労様です!」
「お帰りなさいませ!」
俺達が口々に挨拶すると親っさんが柔らかく微笑んだ。
「有難う、随分と長い間留守にしました、迷惑をかけましたね」
いつもの親っさんだよ、全然変わってねえ。嬉しくて涙が出そうになった、俺だけじゃねえ、ウルマンもルーデルも目を赤くしている。
「アンシュッツ副頭領、何か問題は有りますか」
「いいえ、親っさんの手を煩わせるほどのものは有りません」
常に俺達には厳しい副頭領もニコニコして答えている。親っさんが“結構”と言って頷いた。
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