最終話 新たな伝説
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かすると俺がラインハルトを助けたのはそれを見たかったからかもしれない。ラインハルトにとっても戴冠式は最良の一日だろう、キルヒアイスも傍に居るのだから……。
「エル・ファシルだがヤン・ウェンリーが公爵に立候補したそうだ。彼の当選は間違いないだろうと言われているがそうなれば私は彼を臣下に持てるという事になるな」
「そういう事になりますね、閣下は以前からヤン提督を旗下に招きたいと望んでおいででした。いささか形は変わりますが望みが叶う事になります」
今頃ヤンはブウブウ文句を言っているだろう。そしてユリアンが宥めているに違いない。ヤンの周囲には人が集まっているはずだ。レベロ、ホアン、シトレ、キャゼルヌ……。ヤンには頼まれれば嫌とは言えないところが有るからな。狙い通りだ。
ラインハルトが含み笑いをしている。
「仕組んだな、黒姫」
「ハテサテ、何のことやら……」
拙いな、何処かの悪徳商人みたいなノリになっている。
「卿がレベロ議長やヤン・ウェンリーと会っているのは知っていた。卿の事だ、何か考えが有るのだろうと思っていたが……」
ラインハルトの含み笑いが益々大きくなった。いかん、今度はラインハルトが悪代官になっている。ここは真面目に答えるか。
「形は整えても中身が襤褸では意味が有りません。そう思いましたので多少の段取りを付けさせていただきました」
「中身が襤褸か……、確かにそうだな。せっかくのエル・ファシル公爵、形だけでは意味が無い」
「御理解頂けまして幸いです」
ラインハルトもエル・ファシル公爵には十分に期待している。ヤンならその期待に応えられるはずだ。出来れば長期政権になって欲しいものだ。
「戴冠式にはエル・ファシル公爵にも参列して貰おうと思うが」
「当然の事だと思います、帝国第一位の貴族なのですから」
新公爵の最初の仕事は戴冠式への参列か、形式は大事だからな、嫌とは言わせない。
「公爵の隣には卿が並ぶ事になるな」
げっ、それは勘弁して欲しい。ヤンに睨まれそうだ。ラインハルトはニヤニヤしている。この野郎、嫌がらせだな。
「卿の功績は皆の知るところ、当然であろう」
「……承知しました」
しょうがないな、ヤンの愚痴でも聞いてやるか。まあそれも悪くない。
「卿にはこれからも協力してもらう事になるだろう。新帝国の統治が上手く軌道に乗るかどうかは卿とヤン・ウェンリーの力に負うところが少なくないと私は見ている」
「分かっております、協力を惜しむ様な事は致しません」
「うむ」
これからだってことだ。俺もヤンもラインハルトもこれからが本当の戦いだ。長く終わりの無い繁栄を築く道、それを歩いて行く事になるだろう……。
マーナガルムからユリシーズに戻りフェザーンには連絡艇で軌道エレベーターまで送って貰
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