第一話「ロックマン/ROCKMAN」
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少し怯えたが、
「グリム童話が読めるなんてタケル君は大人だね?」
と、士郎は微笑んだだけだった。
「あ……」
とりあえずはホッとするものの、高町家はグリム童話で持ちきりになり食卓に笑いが広まった。しかし、そんな家族からありもしない台詞が次々とタケルの脳内へ飛び込んできた。
(気持ち悪い……)
(よく読めるな?)
(気味が悪いわね?)
(預かるんじゃなかった……)
(恐い……)
「……!?」
無数に飛び交う声に耳を塞ぎ、そしてガタッとタケルは椅子から立ち上がった。
「……!!」
「どうしんたんだい?タケル君!」
士郎がこちらへ歩み寄り、両手で必死に耳を塞ぐタケルへ手を差し伸ばそうとするものの、タケルはそれを否定して二階の部屋へと逃げ込んでしまった。
「な、何なの?今の……」
始めてみる態度に美由紀はキョトンとし、隣の恭也も首をかしげている。
「タケル君……」
自分の行為が正しくなかったのかと落ち込む士郎に桃子は、
「士郎さん、タケル君の様子を見に行ってくるわね?」
桃子は席を外して二階の階段を上がって、タケルの部屋の戸をノックした。
「タケル君?どうしたの?」
しかし、室内はまるで居ないかのようにシンと静まり返っていたが。しばらくして、タケルがなきながらブツブツと呟いているのがわかった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
「タケル君……」
これほど極度な対人恐怖症とは知らず。桃子は今の不安定なタケルをそっとしておいた。
*
薄暗く、不気味な森の中を一人の少年が何かに追われていた。
息を切らし、逃げ続ける少年の背後からは巨大な黒い物体が風のように追いかけてくる。そして、少年に深手を負わせていた。影は少年を迷わず襲う覚悟であった。しかし、少年の素早い身のこなしに影はこの森の中で彼を見失ってしまった。
「くぅ……!」
どうにか逃げ延びた少年は影の足音が遠ざかっていくのを確認した後に、彼が懐から青年らしき声が聞こえた。
『ユーノ、奴の狙いは僕だ。僕だけでもこの場に捨てて君はレイジングハートを持って逃げ延びるんだ!』
「で、出来ません!ライブメタルである貴方をこのような危険な場所に……」
『しかし、これでは君に……』
「貴方の適合者と接触するまでは……」
少年ことユーノはその場で横たわったまま、気を失ってしまった。
『ユーノ?ユーノ!?』
ライブメタルと呼ばれるその声は必死に彼を呼び起こそうとするが、深手の上に不眠のため力が尽きてしまった。
同時刻、ライト博士の研究所にて、
「……ワイリーめ、奴もライブメタルを作っておったとは」
ライトはユーノという少年と自分が生み出した金属物質「ライブメタル」、その初号機モデルXの無事を祈り、そして自分の旧友であり今は悪しき宿敵となっ
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