第一話「ロックマン/ROCKMAN」
[5/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
白い?」
「……」
タケルは首を斜めにかしげた。わからないと言っているのだろうか?
「面白くないの?」
と、なのはが尋ねるとタケル頷いて面白くないと答える。
「面白くないのにどうして読むの?」
「……現実だから」
「え?」
「タケル君?なのはちゃん?ご飯よ?」
そのとき、二人は桃子に呼び出されて食卓へと向った。本当は行きたくなかった。出来ればずっと一人で部屋の片隅でうずくまっているほうが良かったが、逆に心配させるわけにも行かず、仕方がなく彼は階段を降りて食卓へ顔を出した。
「紹介するわね?こちらが夫の士郎さんと、なのはの隣に座っている二人が兄の恭也と姉の美由紀よ」
「……」
タケルは大勢の見知らぬ人間に見られて急に恐くなり顔を帽子で隠した。
「どうも、君のことはご両親から聞いているよ?これでも私は若い頃エージェントで君のご両親の護衛をしていたことがあるんだよ?」
そう笑顔で話しかけてくれたはなのはの父親、士郎だ。
「ん?なぁ、帽子を脱いで顔を見せてくれないかい?それに食べづらいだろ?」
と、愛称よくなのはの兄で高町家の長男恭也がそう言うが、タケルは黙り続けたまま帽子を深く被り、唾で目を隠した。
「まぁ、いいじゃないか?一様タケル君のご両親から事情は聞いている。あまり言い進めたりするのは止しなさい」
そう士郎の忠告に皆はタケルにそれほど強く言い進めたりせず、優しい掛け声で接した。「ねぇねぇ?お父さん」
茶碗を持ち、なのはが興味を持った目で士郎へ尋ねる。
「どうしたんだい?なのは」
と、士郎はなのはの話に耳を傾けると、
「お父さん、グリム童話って知ってる?」
「グリム童話?」
「タケル君がね?部屋でグリム童話っていう本を読んでいたから気になっての」
「……!?」
そのとき、タケルはなのはに不愉快な思いをさせてしまったのかと思い、彼はこの後何を言われるのか、何をされるのかと考えると背筋が震えてしまった。
「ぼ、僕は……」
悪気はなかったと言おうとしたとき、士郎は感心する目でタケルを見た。
「へぇ?グリム童話……結構大人な本を読むね?」
士郎は懐かしげにグリム童話との思い出を回想する。
「お父さんもなのはぐらいの頃に図書室で読んだことがあるよ?「赤ずきん」の話が今も忘れないな?」
「そうなの?」
「ああ、グリム童話というのは皆がよく知るシンデレラや白雪姫、赤ずきんなどの元となった原作のことだよ?よく知られている話ではハッピーエンドが多いといわれているけど、実際はどの話も残酷で悲惨な終わり方で幕を閉じるのさ?」
「そうなんだ……」
「だから、グリム童話はどちらかっていうと現実的な大人の童話って感じだね?」
そして士郎はなのはと話し終えると今度はタケルのほうへ振り向いた。目と目が合った瞬間、タケルは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ