”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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だ。当たれば、ただでは済まないだろう。
だが受け止める必要もない。
敵の数も少ない。この間も後ろから最後の一体に接近されているが、四方から集中攻撃されることはない。
つまり、行動に余裕がある。
攻撃してくるマネキンの右側から後ろに回り込む。
こいつを撃破すれば、マネキンはラスト1。しかも俺の正面に位置するようになっている。
回り込んだ勢いで莫耶を振るう。
ガラスが砕ける様な破壊音が響く。
それは、莫耶の断末魔の悲鳴だった。
マネキンは腹部から破壊されたが、同時に莫耶も砕け散る。
「――――ッ!」
先程より速く、投影が出来たのは、俺の不具合が治ったからではなかった。
そもそも、こんなに速く治る筈もない。
もしそうなら、ここまで苦労をする筈もないからな。
速度を稼ぐ為に、俺は投影に必要な工程を幾つか省略して、夫婦剣を用意した。
だが、これは突貫工事と同じ様なものだ。
不完全な工程で完成した夫婦剣は、元の性能の四割程度も出ていない。
しかも、『投影』で消費する魔力は、いくら工程を省こうが、基本骨子の想定が甘かろうが、通常時と変わらないのだ。
以前の俺ならこんな使い方をする事はなかった。
いや、する必要がなかった。
大して投影速度も変わらない上に、そもそも致命的な欠陥がある。
自分で言うのもなんだけど、この投影品を見ると、どう見ても欠陥品にしか見えない。
当たり前だ、工程省略の手抜き製品だからな。
俺自身によって否定された投影品は、その時点で幻想から妄想に変わり、実用に耐えうる性能を維持できない。
だが、通常の工程を踏んだ、投影の速度が大幅に低下している現在、以前に近い速度を出そうとするには少々の劣化はやむを得ないだろう。
―――速度を取るか、精度を優先するか。
武装を失った俺は速度を優先する他の選択肢がなかった。
おかげで聖杯戦争の時、俺の投影を見たアーチャーの心情が分かった気がするよ。
莫耶が消えて、マネキンの体に刀身が食い込まなかった為、勢いを殺されない俺は、そのまま前のめりに倒れそうになる。
だが、砕け散る莫耶に目をくれる間もなく、最後の一体の攻撃が来た。
両腕を組んで、さながらハンマーの様に振り下ろされる腕。
こいつは避けれない、か。
体勢が崩れている。直ぐに回避行動に移れない。当然、攻撃を受け流すのも無理だ。
体勢の崩れたまま下手に受け流そうとすれば、返ってこちらが不利になる。
こうなったら仕方がない。一か八か受け止めるしかないか。
干将を両手で掴み、前傾していく姿勢から立ち上がる勢いも使って、攻撃を受け止める。
ぶつかり合うマネキンの腕と陽剣。
一瞬、拮抗するが次第にこちらが不利になる。
干将
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