”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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投影をしなければ………
一見すると、まだ牽制をし合っているだけだが、戦いは既に始まっている。
「折角、描いた絵を無粋な鼠の足跡で汚されそうになったんだ。いかに温厚をもってなる私でも怒るさ。それに目の前で、獲物の宝箱が囮の役目をしているようだし、私も少し大胆に動いてみようと思ってね」
でもフレイムヘイズがあんな事を企てるなんてね、と続けるフリアグネ。
「幸い、封絶を感知したときに気付くことが出来たから、お礼にプレゼントを送っておいたあげたよ。今頃は自分の目的も忘れて、夢中になってくれている筈さ。それにしても、なかなかどうして、あの手は盲点だったよ」
聞くところ、シャナはまだトーチを消してない様だな。感謝するぜ、フリアグネ。こっちも間に合った様だ。
「まぁ、君達が別行動をとった真意を考えていて初動が遅れたのは、私としては格好がつかなかったけどね」
フフっ、と肩を竦めるフリアグネ。
「そこまで分かってるんなら、この後の展開も分かってるだろう。もうすぐシャナも来る。どうするつもりだ」
「それには及ばないよ。さっきも言ったろう? あのおちびちゃんには少しばかり、絵を汚そうなんて企ててくれたお礼に、プレゼント、を差し上げて来たところさ」
プレゼント………、なるほどな。
おそらく今、シャナは何らかの足止めを食らっているのだろう。
つまり、シャナからの援護はしばらく期待出来そうにない。
「それで、どうする? 役不足で悪いけど、しばらく俺と遊ぶか?」
軽く挑発をしてみるが、内心ヒヤヒヤものだ。
事実、役不足だからな。
満足に投影を使用できない衛宮士郎の、人外の存在との継戦能力は無いに等しい。
「そうだね。けど、遠慮しておくよ。君にはおちびちゃんが来るまで、この子達と遊んでおいて貰おうかな」
そう言って、フリアグネは右手を掲げる。
パチン、とフリアグネが指を鳴らす。封絶で隔離された空間が、淡く輝きだした。
「さっきまでは、僕をおびき寄せる為に君が餌になっていた。今度は僕の為に、おちびちゃんをおびき寄せる餌になってもらうよ」
瞬く間に路地裏は大量のマネキンで埋めつくされる。
狭くもないが、それほど広いわけでもない路地故に、敵の正確な数は分からない。
「どうだい? 余興代わりにはなるだろう?」
余興………、ね。
とんだ意趣返しだぜ、全く。
仕方がない、シャナが来るまで精々足掻くとしよう。
セイバーと共に駆け抜けた聖杯戦争の教訓で、戦闘前には退路を出来るだけ確保するのが習慣だ。
だが、今回の戦場は路地裏なので退路の確保は出来ない。
俺の後ろは行き止まりになってるから、敵を突破する必要がある。
出口は一つ―――、つまりは路地への入り口だ。
となると、そこにたどり着くためには、ど
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