”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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、鞘の投影も終わった。
後は間抜けな面構えで人気のない場所でもウロウロしていれば、囮になれるだろう。
とりあえず、トイレを利用するだけではコンビニにも失礼なのでミネラルウォーターでも買っておく。
会計を済ませた俺は、来たときとは逆に入店音に送り出されてコンビニを出た。
◇
「まぁ、ダメ元ではあったけどさ……」
コンビニを出てから四時間程経った。
その間、人気のない場所を転々としているが、全く収穫はない。
路地裏を歩く俺は空を見上げた既に日も傾きだしている。
コンビニで買ったミネラルウォーターも、とうに飲み干してしまった。
シャナの方では、もうトーチを消し始めているのだろうか。
先程、結界に近い物の発生を感知している。
昔から俺はこの手の物には敏感だからな。
封絶は大体、夕方に行うらしいから、日が暮れてしまっては意味がない。
「やっぱり駄目なのか………」
結局、犠牲は出てしまった。
いや、正確に言うと『既に犠牲になっていた人達が消えた』か………
だが、俺のワガママに付き合わせて、もっと多くの犠牲者が出るよりは良い。
それは分かっているんだけどな。
「やっぱり、力不足だな」
今回は状況か不利というのもあるが、それでも何か事前に手は打てなかったものか。
何か他に手があったかもしれない。
家に帰ったら、もう一度状況の再検討をしよう。
また、同じような状況の時に、最善の策を取れるようにならなければならない。
立ち止まって嘆いている訳にはいかないからな。
「さて、俺もそろそろシャナと合流するか」
囮作戦が失敗した以上、シャナと別行動をする理由もない。
消え行く『トーチ』をせめて看取る事が、今の俺に出来る唯一の事だ。
「――――っ!?」
だが、通りに戻ろうとした時、再び封絶を感知した。
場所は―――、この路地裏だ。
「何処に行くつもりなんだい?」
路地裏は薄白い炎に埋められる。
地面には紋章が表れ、周囲に陽炎を残して世界が静止した。
シャナの紅蓮の炎とは違う薄白い炎………。
「この色、シャナとは違う。“狩人”―――フリアグネか!」
「ご名答。いやはや、全く困った子だね。あのおちびちゃんは」
街灯の上には、前回と同様の全身白ずくめの男がいた。
「真名の割りには、ずいぶん我慢弱いんじゃないか? “狩人”さん」
―――ギリギリで餌に掛かったって所か。
そう言って、俺は学ランのボタンを外し、背中に手を回す。
こうすれば、相手からは背中に隠した武器を取ろうとしているように見える筈だ。
「――――投影開始」
小声で呟き、夫婦剣を用意する。
相手はまだ動きを見せていない。時間が許すうちは出来るだけ丁寧に
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