”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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にはヒビが入ってきた。
このままだと後、数秒も持たないだろう。
だが、こちらは受け止めるので精一杯。
このままでは干将も莫耶と同様に砕け、俺はあの鈍器の様な腕に潰されてしまうのだろう。
「もう、剣が持たないか―――」
今にも干将は砕け散ろうとしている。
俺は死ぬのか?
こんなところで…………。
通常の消え方なら、またミステスとして何処かに行くのだろうが、フリアグネに回収されればそうもいくまい。
「すまないなシャナ、邪魔ばかりしちまって」
このまま俺はフリアグネに回収されるだろうが、せいぜい、俺の中の宝具が大した物じゃない事を祈るしかない。
ここには居ない少女に詫びる。
本当に邪魔しかしてなかったな………。
もっと立ち振舞い方があったのかもしれない。
だが、今となってはそんな後悔も手遅れだ。
――――だが、干将が砕け散った瞬間、時が止まったように思えた。
――――彼方より声が響く。
「いいから、右に避けなさい。そんな泣き言、聞く気はないわ」
それは、確かにあの少女の声だった。
干将が砕け、拮抗していた力が消える。
その刹那、俺は無意識の内に体を右に投げ出していた。
マネキンの腕が俺の肩を掠める。だが、直撃を避けれたようで、俺は前のめりに路上へ倒れ込んだ。
入れ違いに後ろから、轟音をならして何かが突撃して来る。
体を起こして振り返ると、そこにはマネキンに深々と贄殿遮那を突き刺したシャナがいた。
そして、灼眼の相貌でこちらを見つめて、言った。
「待たせたわね」
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