暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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っていた。
 それもその筈、俺達にとっては八時間程経過していたが、鞘にとっては二十分程しか経っていない。
 俺が複製した宝具はランクが一つ落ちてしまう為、再複製でもう一つランクが落ちると思ったが、幸いにもランクはそのままだった。
 まぁ、防御用の宝具としてはもう使用出来ないから、ランクはさほど気にする必要はないんだが。
 しかし、遠坂の言った通り『全て遠き理想郷』はその後の俺には必要不可欠な物になった。
 何せ、治癒魔術なんか使えない俺だ。
 流石に、あの吸血鬼じみた強力な治癒能力は、セイバーとの契約が切れた以上無くなってしまった。それでも、魔力を込めれば治癒能力を発揮してくれる鞘は重宝したよ。
 生前のアーチャーは、一体どうやって傷を治していたのか、疑問も生まれたけどな。
 だが、俺の再投影した『全て遠き理想郷』には欠陥というか、欠点の様なものがあった。
 俺の投影した物は基本的には、致命的な損傷を受けるか、俺がイメージを破棄、またはイメージが崩れない限りは半永久的に存在し続ける。
 これは『全て遠き理想郷』にも同様だ。
 正し、それは鞘の形態に限られる。
 だが『全て遠き理想郷』の治癒能力は鞘の形態より、分解して身体の中に埋め込んだ方が向上するようだった。
 第一、鞘の形態だと邪魔になるだろ?
 従って、いつもは分解して体内に取り込んでいるんだが………
 どうも、分解して埋め込んだ『全て遠き理想郷』は、どうも俺の身体が勝手に取り込んで吸収してしまう様なのだ。
 まぁ、元が複製品だし、分解してるから魔力に戻り易いんだろう。
 元々、俺の半身の様な物だから身体の方も取り込もうとするし。
 鞘は大体、五時間から六時間程で取り込まれる。
 消滅するまでは、魔力を込めるだけで簡易的な治癒魔術代わりとして使用可能だ。
 投影した後でも、イメージを補強できれば便利なんだけど、そんなに都合の良い魔術なんてない。
 イメージの補強・投影品の改造は、完成する前にしないといけないからな。
 という訳で戦闘前にはいつも、こうして鞘を投影して取り込んでいる。
 体内から取り出せば、鞘が取り込まれることはないんだから、一度出せば良いじゃない………、と思ったら大間違い。
 戦闘中にそんな時間はないし、分解した鞘をもう一度組み立てるより、鞘を再投影した方が容易なのだ。
 その分、魔力は減るけど、それは贅沢な悩みだろう。

 十分程かかって投影した『全て遠き理想郷』を体内にセットしてトイレを出る。
 幸いにも投影中にトイレの扉が叩かれる事はなかった。
 人が来てしまえば、投影を中断してトイレから出ないといけなかったからな。
 結構、長い間入っていたから少し不安だったのだ。
 まぁ、誰も来なかったんだから良しとしよう。
 さて
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