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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-5 第20話
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か?」
「ええ」
勇者ハルカとローラ姫は無意識に手を繋いでいた。鼓動が聞こえる。
「ローラ姫……僕は、絶対に勝ちます」
「私も、ハルカ様の勝利をお祈りいたします」
「ああ、その顔、勇者ロトとロトの妻に似ている……。私は、勇者ハルカと王女ローラに出会えてよかった……」
「僕も出会えて光栄です」「私もですわ」
ルビスは持っていたエメラルドの杖を掲げ、勇者ハルカとローラ姫に光が降り注ぐ。
ルビスの祝福である。

と、下の階に通じる階段からルビスに使えるエルフが駆けつけた。
「緊急事態なのですか?」
「あ、と言うか、この者達に話して欲しいことがありまして」
エルフはルビスに耳打ちをする。ルビスは首を縦に振る。
「いいでしょう。勇者ハルカに教えると言うことですね」
エルフは用件だけ伝えると、ハルカ達に会釈してから足早に去っていった。
「僕に?」
「ええ。勇者ハルカ、貴方に本当のことを教えておきましょう。貴方の本名です」
「え?僕の本名はハルカ=R=ドランスフィールドですよ?」
すると、ルビスは首を横に振る。ハルカは唖然とその様子を見ていた。……違うと言うことか?
「それは、貴方の父親がアレフガルドに召喚された時に名乗った偽名なのです。本名はハルカ=R=フェアフィールドなのですよ」
フェアフィールド!ハルカには聞き覚えのある姓だった。それはあの夢で出会った、勇者ロト、レイルの本名、レイル=フェアフィールドであった。
「僕は……ロト様と同じ苗字なのですか!」
「ええ」
ローラ姫も当然初耳で驚いていた。
「でも、勇者ロト様は……レイル様は“ロト”と言う称号と鎧や印を残して、上の世界に戻っていったんですよね?何故僕の父さんはアレフガルドで偽名を使う必要が?」
「上の世界で『どこかで生きている』と思わせる為ですよ。あの二人は私が“こっそり”呼び出したものですからね」
「なるほど……」
ルビスは一呼吸して話を続けた。
「そして、勇者ロトは剣も残しているのです。しかし、何者かによって、行方は私もわからないのです…」
ロトの剣。初めて聞いた言葉ではなかった。書物等で何かしらは知っていた。ただ、ルビスと同様、場所はわからないままで、この世界から消えたとさえ言われている。
「……何とかして、僕が見つけ出してみせます。あれがあれば、竜王を倒す為に有用なのでしょう?」
「ええ。鎧と印を見つけ出した貴方なら、きっと剣も見つけることが出来るでしょう」
「解りました。……ルビス様、一ついいですか?僕はこれから“ハルカ=R=フェアフィールド”と名乗らなければならないのですか?」
「いいえ。“ドランスフィールド”姓のままでいいのです。勇者ハルカ、王女ローラ。これからも仲良く……私は貴方達を見守っていますよ」
「ありがとう、ルビス様」
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