Chapter-5 第20話
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「……その可能性は高いでしょうね。恐らく、ローラ姫も勇者ハルカ殿について行くでしょう……。まさか、王様、それを予期して……?」
ラルス王の隣にいる大臣が、王を見ていった。驚きの表情に見えた。
「今はそれ以上言うな。まだ決まったわけではない。確かにいい感じで進んではいるが。今は、勇者ハルカとローラの様子を見守ろうと私は思う」
ラルス王は表情を変えずに淡々と話す。ハルカとローラ姫の交際を全く反対しない。昔の自分なら考えられなかった事だ。以前の自分なら猛反対をしていたであろう。しかし、今はそんなことは全くない。勇者ハルカがローラ姫を連れてきたときから、反対の気はなかった。娘と離れ離れになった期間が自分を変えたのか、それは解らない。もしかしたら、亡くなった王妃が『娘の幸せは、素直に受け入れて』と忠告しているのかもしれない。
それか、いままでうじうじとしていた自分が、勇者ハルカと関わる事により変わっていったのかもしれない。
ラルス王はしっかり食事を取りながら、様々なことを考えていた。
ハルカとローラ姫は二人で会話しながら、食事をとっていた。
当然ながら、口に食べ物を含んだまま話すなど、みっともないことは一切していない。
「美味しいですね、さすが王室のシェフ」
「ええ。でも、今日は一番と美味しいですわ。どうなさったのかしら?なんと言いますか、気合が入った?でしょうか」
気合が入った。まさか勇者ハルカとローラ姫の祝福の意味が込められているのだろうか?
(……まさか、ね)
ハルカはいつも自分が食べているようなパンとは違った、綺麗な黄金色と白のパンをじっと見つめていた。
「ねえ、ハルカ様」
「何でしょう?」
「私、ロトの奥様の血を引いているのに、何にも出来なくて……ハルカ様に頼ってばかりで。私も戦える力があったら、と思ってしまうことがあるのです。でも、その一方で、そうであったら、ハルカ様とこんな仲になれなかったでしょうか?と悩んでしまうのです」
「貴女は、今のままでも問題ないと僕は思います。貴女は姫として生まれ、且つ戦うために生まれたわけではないのでしょう。兵士や戦士団がいますから。上手く言えませんでしたが、大丈夫。僕が竜王を倒し、貴女の笑顔を守りますから」
そもそも、ローラ姫が勇者ロトの子孫、勇者ロトの妻の血を引く者だと判明したのはついさっきの事である。このようなことになるとは、誰も予想できなかったのだ。
ハルカはその事も伝えた。ローラ姫はそうですね、と、小さく頷いた。
「ハルカ様……ありがとうございます」
「どういたしまして」
ハルカの手とローラ姫の手が重なった。今までより熱く感じる。
二人は結ばれる運命。勇者ロトの血と勇者ロトの妻の血が、再び結ばれる。
ハルカはローラ姫を連れて、ラダトームの街を歩く。
まだ午前9時
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