暁 〜小説投稿サイト〜
DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-5 第19話
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
か、人を殺しにかかってないか?」
はっきり言って、人間が立ち寄る場所ではない、とハルカは呆れていた。
それでも、ロトの鎧の力で全くダメージを受けることなく、奥の部屋へと進んでいく。

妙な床を越えた先は普通の床になっており、大理石のテーブルがあり、その向こうに、一人の老人が座っていて、じいっとハルカのほうを見つめていた。
「……客か。ほう、ようやく待ち人来たり、じゃな」
「……はあ、あの床、貴方が仕掛けたものですか」
老人は首を大きく動かした。
「ご名答。ここはわしが望む者以外は立ち入ることを許さないからな」
「望む者って、僕の事ですか」
「そうじゃ。その鎧を見れば解る」
もちろん、ロトの鎧のことである。
「あの、だからって、あの仕掛けはどうかと思うのですが。死者も出ているんですよ?何だか間違っている気が、僕はしますけど」
ロトの鎧を手に入れたものしか入ることしか許せないのならばせめて毒沼にしておけばよかったのに、と思うハルカ。毒沼の方がダメージ量が少ないのだ。と、ハルカは呆れた表情で老人――賢者を見た。
賢者は怒るどころかカッカッと笑いながら、
「やりすぎたか。すまんすまんってそなたに言っても仕方ないがな」
ハルカは怒りより呆れの方が大きく、大きなため息をついた。
(この人に何言っても駄目かもしれない……)
これ以上仕掛けの話しても無駄だと判断したハルカは、賢者に“証”のことについて話を聞き出すことにする。
「あの、貴方はご存知でしょうか?」
「ロトの印か?」
ロトの印、それが、ハルカの求めていた印なのである。
「そうです!僕はそれを探していたのです!もしかして、貴方が持っているのですか?」
「いや、わしは在り処は知っているが、持ってはおらん」
「在り処?それは何処にあるのですか?」
持っていない、ということに関しては少しガッカリしたが、在り処は知っているということで、納得は出来た。
「メルキドのちょうど南の、広い毒沼に隠されておる」
「……は?」
ハルカは唖然とした。大事に保管されているかと思っていたら、毒沼に放置されているのだから。重要な物が。
「うーんと……あ、あったあった」
賢者は後ろの汚い棚から、一枚の紙切れを取り出した。
ハルカは渋い顔で受け取った。
「……ここにロトの印が隠されているんですか?」
紙切れにはメルキド周辺の地図に、毒沼のとある場所に赤い×印がが書かれている物であった。
「そうじゃ。ロトの印の在り処を知っているのはわしだけじゃからな」
「……そうです、か」
ハルカは神殿の仕掛け、賢者の態度、ロトの印のありかについて呆れながら、それを顔に出さず、作り笑顔で賢者に礼を言った。
「ありがとうございます。では僕はこれで失礼いたします」
「頑張ってくるのじゃぞ」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ