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〜烈戦記〜
第十一話 〜殿〜
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報告を終えた。
皆一様に沈んだ空気の中で涙を流していた。

『…そうか。惜しい人物を無くした』

私は皆とは少し冷めた位置にいたが、それでもとなけなしの言葉で彼の話をしめた。

『…刑道晃様は悔しくないのですか?』
『…何?』

だが、この言葉が気に入らなかったのか牌豹が喰ってかかってきた。

『は、牌豹様!』
『悔しく無いんですか!』

牌豹は周りの兵士の静止を聞かず、私の眼前へと迫り出てきた。
彼の目は真っ赤に腫れ上がっていた。

『あなたは確か奴宮様とは長い付き合いでしたよね!?なら、何故涙を流されないのか!』
『牌豹様!落ち着いて!』

牌豹は数人の必死な兵士達に引っ張られるように私から距離を離した。
牌豹を抑える兵士達の表情は真っ青だった。
それもそのはずだ。
私と牌豹とでは王子と一武官の副将という差がある。
本来ならこのような行為は打ち首にされてもおかしくない行為なのだ。
静まり返っていた辺りが一瞬で騒然となった。

『悔しく無いんですか!』

だが、それでも尚牌豹はその矛先を失った怒りや悲しみを私に怒鳴り散らしていた。

…まったく、奴宮の奴め。
話では聞いていたが、飛んだ置き土産を残していきおって。

私は兵士に抑えられても尚暴れる牌豹へ近寄った。
そして、先程牌豹が迫って来た時と同様に牌豹の眼前へと迫った。
すると牌豹は気押されたのか顔を引いた。


周りが一気に凍りつく。
これからいったいどんな罰が牌豹様へ加えられてしまうのか。
牌豹を含め皆一様に固唾を飲んだ。


『…そなたは私に悔しく無いか、と言ったな?』
『…』

牌豹の表情は血の気が引いたように真っ青になっていた。
多分自分の犯してしまった愚行に今更気付いたといった所か。
これが聖人君子なら全てを無しにしてやる所なのだろうが、私としてはそうはいかない。
それはただ単に私の逆鱗に触れたからとかではない。
今正に戦というものが始まってしまったからだ。
しかも、自分達よりも遥かに強い相手とのだ。
それはつまり、我々が生き残る為には十二分の力を持ってして当たらないといけない。
当然そこに甘えが入る余地は無い。
私は父上の跡取りとして、そして一軍の将として先頭に立って信賞必罰を成す為、上と下の線引きをしっかりする必要がある。

『悔しいに決まっておろうが』
『…ッ』

私は冷たく突き放すように言い放った。

『私は誰よりも奴宮と共に戦場を渡り歩き、また私事についても共に酒を酌み交わして来た。それを副将ごときにとやかく言われる云われなど毛頭無いわ…ッ!』

私はできる限りドスの聞いた声で、そして淡々と脅すように牌豹へと話した。
牌豹は話の途中で既に私の目を見る事
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