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〜烈戦記〜
第十一話 〜殿〜
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士は皆強兵揃いにございます』
『ん?』
『あ!牌豹様!』

話しに割って入って来たのは私の変わりに部隊の指揮を任せていた我が副将牌豹だった。
彼は冷静さや慢心といった点ではまだ甘いが、その若さと武術の腕を買って私の片腕として使っていた武官だ。

だが、そんな彼が敵兵を見て"強兵"と言うのには少し違和感があった。
現に我々より兵を有していながら、敵は早々に崩れ、被害を出し、そして今この陣を放棄するに至っているのだ。
そんな状況で彼のいう言葉は鵜呑みにできるものではなかった。
私は彼に問うた。

『…強兵揃いとな?』
『はい。彼らはどうやら本隊とは別に戦力を有していたようで、少数ではありますがその練度は本隊とは比べられぬ程に良く成されているようです』

成る程。
もしそうであれば、全体に対しての殿の比率がおかしかった事には頷ける。
…だが。

『ふむ…敵が弱兵では無いのはわかった。だが、それでも高々500であろう?そんな少数相手に我が方が手をこまねく道理にはなるまい』

そうだ。
幾ら強兵とはいえ数は数だ。
それに我が方も練度が低い部隊では無い。
相手の練度が高かろうが、我々と余程の大差がついているとも考えられない。
私は再び牌豹に問うた。

『…これを』
『ん?』

だが、彼はその問いにまず出したのは言葉では無く槍であった。

『…これは』

だが、その槍は先端の刃を失った柄の部分だけだった。
一瞬その意味が良くわからなかった。

『…敵将との一騎打ちで負けました』
『…』

私はそこでやっと理解した。
これが彼の言う敵将との一騎打ちで刃を失った槍だとという事を。
そして、それを見せてきた彼が何を伝えたいのかを。

『…敵将の名は?』
『わかりません…』
『…ふむ』

彼は若干下を向きながら唇を噛み締めて悔しそうにしていた。
どうやら一騎打ちに負けた事、そしてそれを報告するのが悔しかったようだ。

私は彼の性格や槍の腕は良く知っている。
槍を国で競わせれば多分一位二位を争う腕は持っているだろう。
だが、それに若気が加わり、彼はどうにもそれを必要以上に誇る癖がある。
そんな彼が一騎打ちで負け、そして自分の得物さえも奪われてしまったのだ。
その悔しさは相当なものだろう。
だが、これはいい機会だ。
私の副将として、そして未来の蕃族を背負う若者としてこの経験を生かして慢心を捨て、更に精進してもらいたいところだ。

…だが、今はそんな事も言っていられる状況では無いらしい。
まだまだ若いとはいえ、槍の腕は確かな彼が純粋な武で大差をつけられたのだ。
きっと余程の敵がこの先にいるのだろう。
そしてそれ程の腕を持つ人間に私は心当たりがあった。

『…牌
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