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八条学園怪異譚
第三十六話 美術館にその十五
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ます」
「今度は」
「あの場所にも面白い妖怪がいる」
「口裂け女さんですか?」
「あの人ですか?」
「また違う、テケテケだ」
 この妖怪がいるというのだ。
「名前は聞いていると思うがな」
「あっ、あの下半身がないっていう」
「腕だけで歩く妖怪ですね」
「その娘がいる、では次はな」
 鉄道博物館に行けというのだ。
「口裂け女や花子さんと共に行くといい。私より彼女達の方があの娘と仲がいいからな」
「それはどうしてですか?」
 聖花は日下部に何故口裂け女達とテケテケが仲がいいのかを尋ねた。
「同じ妖怪だからですか?」
「どの娘も都市伝説系の妖怪だからだ」
 それが理由だというのだ。
「それでだ」
「そういうことですか」
「今度はそこだな、ではな」
「はい、じゃあ行って来ます」
「今度は鉄道博物館に」
 二人も日下部の言葉に頷く、そしてだった。
 話が一段落済んだところで周りを見る、今も歪んだ時計が浮かび逆さになった子供達が赤い雲を弾いて遊んでいる。
 そうした現実に有り得ない世界を見てだ、こう日下部に言うのだ。
「何かここはかなり」
「他の場所と比べても違いますね」
「それがシュールリアリズムの世界だ」
 日下部もその絵から出た世界を見ながら二人に答える。
「ゆっくりと楽しむといい」
「幻想ですね、本当に」
「これも」
 二人は絵の世界を観ながらその世界に身体を置いていた、そのうえで今はその中に漂う様にしていた、その心も。


第三十七話   完


                     2013・5・16
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