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弱者の足掻き
十三話 「依月」
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これ何本ですか?」
「ああうん、そうだ……三本だ。悪い、心がどっか飛んでた。そういえば白の方は体大丈夫か?」
「特に問題はありませんでしたよ。戻るのに時間がかかってすみません。……上に行きましょう。肩を貸しますので」

 俺は支えられて立ち上がる。二階への階段をゆっくりと上っていく。

「一体何があったんですか? 後でと言われましたが」
「そうだな……お前には言っといた方がいいか。これからを考えるなら、言った方がいいことは全部」

 隠す必要も無い。いずれ言うつもりだったのだ、ここがその機会だろう。
 どこまでを言うべきかは決まっていた。問題はどこからを言うか。それを考えながら俺は足元の段差を見る。しっかりと踏みしめ、踏み外さないように足を乗せる。

「眠る前に話をしたい。骨董無形でバカみたいな話だが聞いてくれるか?」
「いくらだって聞きます。イツキさんが望むのなら」



 その日、更けていく夜の中俺は白に話をした。
 それは有り得ないはずの知識を持って生まれた過去の話。
 そして誰も知らないはずの、未来の話だ。
 白はそれを疑いもせず、静かに聞き続けた。

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