DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第五話
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ウンドと共に半透明のウィンドウが開いた。最上部には《天命》と記された、恐らくHP。その下に《OCO》……筋力値に相当する、オブジェクト・コントロール・オーソリティとおもわれる記述。《天命》《OCO》の隣には、プレイヤーネーム……《Semon》の文字が。そしてその下に、《称号》と思われる記述が。
―――――《神話剣》。
それが、セモンに与えられた称号だった。
かつてアインクラッドで、そして今アルヴヘイムでセモンの所持するユニークスキル、《神話剣》。それと同じ名がアインクラッド時代、セモンの二つ名として使われていた。なんだか懐かしいものを感じて、自然と目頭が熱くなってしまう。
セモンは涙をこらえると、仲間たち(おそらく)を見て、言った。
「――――《神話剣》、セモンだ。よろしく、カズ、ハクガ、リーリュウ」
*
白い宮殿。
その建物を表す言葉は、たぶんそれぐらいしかない。
それほどまでに、『白い宮殿』としか言いようのない建造物があった。宮殿の中は明るい白い光に包まれていて、温かく光が反射し合っていた。
しかし、宮殿の奥に進めば進むほど、空間は暗くなっていく。最奥部にはほぼ闇しかない。
そんな闇の中に、一枚の光の画面が浮かび上がっていた。
その前には、ぼろぼろの布をとんがり帽子とローブの様に着込んだ、薄い金色のくせっけの男――――いや、男というにはあまりにも幼すぎるだろうか。少年だ。十五歳になるかならないかの、ひどく背の低く痩せた少年。その相貌は、奥を見通せない紅蓮。
少年は、ひどく面白そうな表情で、浮かぶホロウィンドウを見つめていた。
その隣には、黒と茶色の混じった癖っ毛をポニーテールにした少女と、真っ白い長い髪を腰まで伸ばした少女の二人。
「何か面白いものでもありましたか?お兄様」
白い髪の少女が聞く。
すると、少年はつつつ、と小さく笑って、無邪気な、しかしおぞましい笑みを浮かべた。
「ああ。面白いものを見つけたよ、グリヴィネ」
少年は、青白い画面を見つめたまま、しばらく笑い続けた。
その隣で、くすくすくす、と、癖っ毛の少女も小さく笑う。
「楽しくなりそう?」
その問いかけに、少年はにやりと笑ってうなずいた。
「ああ。今までにないくらい」
「すばらしいです、お兄様」
白髪の少女も満々の笑みを浮かべる。
はたから見れば、談笑しているだけに見えないこともない。
だがしかし、その場にいる三人全員が浮かべる笑みの中には、底知れぬおぞましき狂気が垣間見えていた。
「さぁ、はじめようか、今度の物語を。……喜劇か
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