第百五十六話 ヴァンフリート星域会戦 その5
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れて始めて、辺りを見渡し、司令部要員が呆れた表情で自分を見ている事に気が付く。
「少佐、ケスラー中将の話は本当なのか?」
サンバーク少佐も呆れていたが、副官の仕事を確りとする。
「はっ、確かで有ります。爆発は内部から起こっております」
「何故、消火せんのか、このままでは基地が危険ではないか!」
部下達が必死に延焼を防ごうと努力しているにもかかわらず、その神経を逆なでするような行為を行う。
「目下誠意奮闘中です!」
頭に来たオペレーターの一人が聞こえるように大声で報告する。
『中将、我が艦隊から工作艦を派遣し消火活動に参加させます』
ケスラーの言葉に、セレブレッゼ中将は断ろうとしたが、それより早くサンバーク少佐が、答える。
「宜しいのですか?」
ケスラーは頷きながら答える。
『無論だ、此処で火災が続けば、基地の人命に多大なる危険が迫るだろう、同じ人間として、その様な事を見て見ぬ振りなど出来る訳が無い』
ケスラーの答えに、基地で話を聞いていた面々は“この人が、指揮官であったら”と思い“この人なら、約束通り、無体な事をしないで有ろう”と信頼感が増した。
シェーンコップ達、ローゼンリッター連隊の面々も、ケスラーを信用するに値する人間だと納得する事と成った。
ケスラーの申し入れを受け、基地全体に“帝国軍が消火の手伝いをしてくれる旨、絶対に攻撃等をしないように”という命令が伝達された。
一人蚊帳の外のセレブレッゼ中将はサンバーク少佐の独断を責めたが、司令部総員からの冷たい視線にフラフラと司令室を出て行き、そのまま自室へ籠もってしまった。
その後、基地の激しく燃える現場に、帝国軍工作艦が接近したが、基地側の対空レーダーも射撃レーダーもスイッチが切られ、工作艦から多数の消化剤や、液体窒素等が噴射され、次第に火災も下火になっていった。
それより前、基地から数台の装甲車が火災で棚引く煙をカモフラージュにして南へと逃げ去っていった。その装甲車にはローゼンリッター連隊長ヴァーンシャッフェ大佐以下ゾルゲと彼の部下達が乗り、ありったけの物資を積んで、遙か南極点にある無人観測基地へと逃亡したのである。
その姿自体は、超高感度センサーの塊であるケスラー艦隊旗艦エリュテイアでは観測されていたのであるが、ケスラー、メックリンガー、ベルゲングリューン、ビューロー達も敢えて言及せずに、そのまま逃亡させる事に成った。
彼等は、態とヴァーンシャッフェ連隊長を逃がすという作戦を知っていたからであり、それ以外のケスラー艦隊司令部要員は全て、グリンメルスハウゼンの手の者で構成されていたが為に、誰一人として、それに異を唱える者はいなかった。
必然的に、ヴァーンシャッフェ連隊長はローゼンリッター連隊を見
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