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星の輝き
第1局
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がらも立ち上がった。
「あいつと打てる?」
ヒカルの無邪気な問いかけに、市河は、
「あ、うーん、あの子は…。」
―え、いくらなんでも初心者がいきなりアキラくんはないでしょ、困ったな。
「対局相手さがしてるの?いいよ、ボク打つよ。」
「アキラくん、でもこの子…。」
戸惑いながらもやんわりさえぎろうとする市河の言葉をヒカルが邪魔をした。
「あ、俺じゃなくてこいつね。ラッキーだな、子供がいて!やっぱ年寄り相手じゃもりあがんねーもんな!」
ヒカルのぶしつけな発言に、近くの老人達がむっとした態度を見せるが、ヒカルはまったく気がついていなかった。
「奥へ行こうか、ボクは塔矢アキラ。」
「オレは進藤ヒカル、んでこいつが藤崎あかり、六年生だ。」
「藤崎あかりです。」
「あ、ボクも六年だよ。」
 そんなヒカル達を市河が呼び止めた。
「君達、ちょっと待った!お金がまだよ。」
「あ、そっか、お金がいるんだ。」
「ちょっと、ヒカル、そんなの聞いてないよ。」
「子どもは五百円だから、二人で千円!」
「せ…千円……、あったかな。」
「どーするのヒカル、私お金持ってきてないよ。」
慌てる二人の様子を見て、アキラが口を挟んだ。
「ここ初めてなんでしょ。市河さん今日はサービスしてあげてよ。」
「やーーん、アキラくんがそう言うなら…。」
アキラのお願いに市河さんの許可が出て、ほっとするヒカルとあかりだった。
―あー、そうだった、前の時も塔矢のおかげで助かったんだったな、すっかり忘れてた。
―ほんとにヒカルは忘れっぽいんですから。
佐為にも注意をされるヒカルだった。

「棋力はどれくらい?」
席に着いたあかりに、アキラが声をかけた。
「ヒカル、どうすればいい?」
「そうだな、ま、初対局だし、三子で打ってもらえよ。」
「え、三子でいいの?」
思わずそう声を上げてしまったアキラに、
「お前と同い年じゃん、あかりも。これでもそれなりには強いんだぜ。そんなもんでいいだろ。」
と、不安げなあかりを差し置いて、澄まし顔で答えるヒカル。
そんなヒカルに、
「え?うん…、まァそうだね。」
と、アキラは照れくさそうに答えた。
後ろの席でそのやり取りを聞いていた老人は、
「塔矢アキラに三子か、とんでもない子供たちだな…。」
と、苦笑していた。
「いいよ、じゃあ、石を三つおいて。」
「あ、はい、よろしくおねがいします。」
「よろしくお願いします。」
そうして、あかりとアキラの対局は始まった。

 アキラの石の打ち方はピシッと筋が通っていて綺麗だった。それに対するあかりも、対局前のおどおどした様子はなくなっていた。
―石の持ち方は案外さまになっているし、石の筋はしっかりしている。それなりに強いと言われるだけはある。
あか
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