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万華鏡
第三十五話 厳島神社その十五

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「普通は女の子だとね」
「プロレスに興味がないわよね」
「普通は」
「私は弟が好きだから」
「うちも兄貴が好きだからさ」
 美優はこう答える。
「だからさ」
「美優ちゃんはお兄さんの影響なのね」
「猪木さんを好きなのもさ」
 この好みも兄の影響だというのだ。
「そうなんだよ」
「私もお兄ちゃんが好きだから」
「私も」
 景子と彩夏もだった、二人もそれぞれの兄の影響だった。
 そして里香もだ、四人に言う。
「私もね」
「あっ、里香ちゃんもなの」
「プロレスに興味があるの」
「私はブッチャーさんなの」
 里香は外国レスラー派だった、それも悪役の。
「あの人が好きなの」
「ブッチャーさんって確か」
「そうよね」
「もう札付きの悪役じゃない」
「悪役の代名詞っていうか」
 そこまで有名だというのだ、これは実際のことだ。
 だがだ、里香はこう言うのだ。
「本当は凄くいい人なのよ」
「えっ、嘘」
「あのブッチャーさんが?」
「如何にも悪そうな外見なのに」
「しかもリングであんなに暴れるてるのに」
 四人は驚いた、だがだった。
 里香は舞台とう海を交互に見ながらこう四人に話した。
「馬場さんとも仲がよくて戦う時は敬意を忘れなかったって」
「そういえば試合の時」
 馬場との試合の時のブッチャーはどうだったのか、琴乃はこれまで見た馬場の試合のことを思い出して言う。
「馬場さんと戦うブッチャーさんの目優しかったわ」
「そうでしょ」
「というかあの人綺麗な目をしてるから」
「目が綺麗な人はね」
「心もなのね」
「よく言われることでしょ」
「ええ」
 琴乃はブッチャーの映像の記憶から答えた。
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