〈……一方その頃〉
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コン忍者団″の衣装が、残ってただけで……。それに、その、ザ、ザイードさんも、足りない分を縫うの手伝って下さいましたし……」
女アサシンを始め、全ての黒ずくめのサーヴァントが身に纏っているのは、黒い忍び装束だった。そして顔に付けた仮面は、目を細めた白い狐の面。
コンコン忍者団″とは、戦国時代に輝日東町に実在した、輝日東忍軍をモデルにした戦国漫画。ビーバー三国志″と並んで小学生に大人気で、中多紗江はもちろん、純一と美也も大好きだった漫画だ。
「ザイード、我らが本来の務め努々忘れるなよ」
「……申し訳ありません」
女アサシンの感情を殺した声は、ザイードを震えあがらせるのに十分だった。
「そこな娘。この世の王たる我を差し置くとは、どういう了見だ?」
「あ、す、すす、すみません! え、えと、ふ、服出来ました。……い、いかがですか?」
中多紗江が、椅子の上に置いてあった紙袋を手に取り、中から一着のシャツを取り出す。紗江の顔は、緊張で強張っていた。アーチャ―の前まで行き、シャツを広げて見せる。
アーチャ―が目を細めて、シャツを隅々まで舐め回すように見る。
「こ、今回は、十八世紀スコットランドの、きゅ、宮廷衣装を、参考にして、つ、作ってみました」
「ふむ。……まぁ、着てやってもいいだろう」
「ほ、ほんとですか! よ、よかった……」
眼に涙を浮かべた紗江が、へなへなと座り込んだ。
「お、お嬢様っ」
部屋中のアサシンが一斉に声をあげ、紗江に駆け寄ろうとする。
「あ、だ、大丈夫、です」
狼狽する狐面の忍者集団に、紗江があどけなさの残る笑みを向ける。
忍者集団は、ふんぞり返るアーチャ―を一瞬見た後、再び片膝を下って紗江に向かって頭を垂れる。
少し震えながら立ち上がると、紗江は可愛く身だしなみを確認して、改めて部屋に居る全員を見渡した。
「えっと、じゃあ、皆で、ケ、ケーキ食べましょうか」
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