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勇者番長ダイバンチョウ
第1話 番とバンチョウ
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いような唾の欠けた学生帽を被り、口元には何故か魚の骨が咥えられている。更に言うと、その学生の右手には箸が握られており、左手には並々ご飯の盛られた茶碗が持たれている。
「誰だてめぇ!」
「俺達を天下の極悪組と知ってて喧嘩売ってんのかてめぇ!」
 当然こんな事をされたのだからチンピラ達とて黙ってられる筈がない。忽ちその学生に対しメンチをきり始めた。しかし、背丈が小さいせいか余り迫力がない。
 それに対し、学生の方はそんなチンピラ達のことなどガン無視しながら飯を頬張っていた。
「ふがふがふがが……ふがもがが」
「いや、そう言うのは食いながら言うもんじゃねぇから!」
「兄貴ぃ、何なんですかぁこいつ? 只の馬鹿なんじゃねぇんですかぁ?」
 どうも拍子抜け感が否めない感じであった。喧嘩を売ってきたと言うのに、当の本人に至っては食事に夢中なのだから。
 そうこうしていると、学生が飯を食い終わり口元についていたご飯粒を一粒ずつ口元に運びながら目下に居るチンピラ達を睨んだ。
「ったく、白昼から堂々と学生相手にカツアゲたぁ、最近のヤクザってのは品が落ちたんじゃねぇのか?」
「なんだとてめぇ!」
「そんなてめぇらのひん曲がった根性。この俺が叩き直してやる! この【轟番(とどろき ばん)】がよぉ!」
「上等じゃねぇか! あべこべにてめぇを袋にしてやるよぉ!」
 震える中学生達を他所に、轟番と名乗る学生と数人のチンピラ達の激闘は開始された。いや、それは激闘と言うには程遠い光景だったと言える。
 初めに殴りかかってきたチンピラAに対し、顔面に向かい強烈なゲタキックをお見舞いし地に伏せさせる。続いて襲い掛かってきたチンピラBに対してはカウンター宜しく野太い腕を利用したパンチ一発で軽く沈黙。残ったチンピラCにいたっては青ざめた顔をしながら懐から光物を取り出してちらつかせだした。
 が、そんな物を見ても番は眉一つ動かさない。因みに光物と言うのは俗に言う刃物系列である。
「本来なら素手で倒す予定だったが、てめぇらがそれを使うってんならこっちも容赦しねぇ」
「な、何すんだよ? こっちは本物のドスだぞ! 切れるんだぞ!」
「ドスがどうした? そっちがドスならこっちはこれで良い」
 番が背中に手を回す。すると、其処から現れたのは一本の木刀であった。
 柄の部分には達筆で【一意専心】と書かれている。何所にでもある様な極普通の木刀であった。
「この木刀でてめぇの捻じ曲がった根性を修正してやるよ」
「な、舐めた事抜かしてんじゃねえええええええ!」
 ドスを小脇に抱えて猛然と突進してきたチンピラC。そんなチンピラの前に映っていたのは、木刀を頭上に振り上げている番の姿であった。そして、そのまま物凄い勢いで木刀は振り下ろされた。
 それからの記憶は殆どない。何故
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