第三十一話「黒の教壇! ――凶弾! …………あれ?」
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出された大柄な男はよれよれの白衣を着ている。全身をイタチの唾液でベトベトにしながらうんうんと唸っていた。
「博士……起きる」
「うぅーん……まったく、オベローンの中はあまりよろしくない環境ですねぇ」
バリトンを利かせた声。頭を振って立ち上がった男の身長は一メートル八十は近くあるようだった。
瓶底のような丸メガネを掛けたボサボサの黒髪をした博士と呼ばれた男。確かに一見すると博士っぽく見えるな。
っていうか、なんなんだコイツら……?
「ふぅ……まあいいでしょう。それでぇ、イングリット。状況は?」
「博士の予想通り」
「ふむ、予想通りの結果ですかぁ……」
丸メガネを押し上げた男――博士は俺たちに向き直った。な、なんだ?
スタスタと早歩きでこちらに歩み寄ってくる博士は部長の数歩手前で立ち留まると、ペコッとお辞儀した。
「ああ、どぉも。初めまして……わたくしぃ、フォフマン・N・ガネーシャといいまぁす。うちのイングリットがお世話になりましたぁ。これ、つまらないものですがどぉぞ」
「えっ、は、はぁ……ありがとうございます?」
懐から取り出た小包みを部長に渡す。キョトンとした目で思わず受け取ってしまった。
なんとも言えない弛緩した空気が流れる。あの緊迫した雰囲気はどこへやらだ。
「あの、あなたたちは一体……?」
部長の言葉に博士は苦笑いする。
「あぁ……これは重ね重ね、申し訳ありません。私たち、こぉいう者です」
懐から取り出したのは何やら手帳のようなもの。黒を基調とした手帳の表には十字架に似たマークが描かれている。
「――っ! それは……!」
部長の顔が強張る。なんだなんだ!?
皆もなにがなんだか分からないのか首を傾げていた。ただ一人朱乃さんを除いて。
「……黒の教団」
「おやぁ、さすがにそこの御令嬢方はご存知でしたかぁ。では、改めてご挨拶しましょうかぁ」
朱乃さんの零した言葉に感心したような顔で頷く博士。黒の教団ってなんだ? なんか聞き覚えがあるんだけど……。
博士とイングリットと呼ばれたフードの男が並ぶ。
「わたくしぃ、黒の教団の第三部隊開発部に所属しています、フォフマン・N・ガネーシャでぇっすぅぅぅ。以後お見知りおきを。あ、ちなみに【ノウェム】の名を拝命しておりますぅ。ほら、イングリット。あなたも挨拶なさぁい」
「……同じく黒の教団、第二部隊捜索部所属……イングリット・O・パズラー。【オクトー】を拝命……。よろし、く……?」
「あなたは相変わらずのコミュ障ですねぇ。わ
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