第三十一話「黒の教壇! ――凶弾! …………あれ?」
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あれでもダメか!
奴の拳からは少量の血が流れていた。あれだけの攻撃を受けてあの程度のダメージ……。
――これが、堕天使コカビエル……。
この場にいる全員が肩で息をして絶望的な表情を浮かべていた。
「しかし、貴様ら神の信者と悪魔はよく戦う。使えるべき主はもういないというのにな」
……? 神はもういない?
突然、意味の解らんことを喋り出すコカビエル。なにを語るつもりだ?
「……どういう、ことだ?」
気絶から目が覚めたゼノヴィアが腹部を押さえながら立ち上がった。
それを見て奴の口角が持ち上がる。まるで、無知な物を嘲笑うかのように。
「クハ――クハハハハハハハハハっ! そういえばそうだったな! 貴様らは知らんのだったな! ならついでだ、教えてやろう。貴様らが崇め奉る神とやらは、既に――オロローン――たのだよ!」
何かを口にしようとしたコカビエルだが、突如聞こえた珍妙な鳴き声に言葉を遮られた。っていうか、さっきから所々聞こえたぞこの鳴き声! なんなの一体!?
押し黙ったコカビエルは勢いよく振り返った。つられて俺たちもそちらに視線を向ける。
そこには一人の男が立っていた。
コカビエルは男を――倒れ伏したはずのフードの男を見つめる。
「生きていたかイングリット。しかし、貴様はすでに用済みだ。この場から消え失せ――」
「――零時三十一分、時間……オベローン」
オロローン。
――っ! またあの声だ。一体どこから……。
その時、フードの男の影が大きく蠢いた。
突如、面積を拡大した影。その影の中からナニかが現れる……!
「あれは……イタチ?」
部長の言葉に俺も思わず目が点になる。陰から現れるというわけのわからん登場をしたのは、可愛らしい一匹のイタチだった。
全長五十センチほどの小さな小動物。白い毛並みを持つイタチはつぶらな瞳でキョロキョロと周囲を見渡し、フードの男の肩に飛び乗った。
フードの男の雰囲気が柔らかくなる。余程可愛がってんだろうな……。
「オベローン……ぺっ」
「はっ?」
その光景に思わず目が点になった。男の言葉にイタチが吐き出したのだ。
――自身の身体の何倍の大きさを持つ成人男性を。
わけのわからない展開に皆が凍りつく。あのコカビエルもどうすればいいのか分からない様子だった。
小さな体から大柄な男を吐き出すというイリュージョンを見せたイタチは「僕関係ないもん」とでもいうようにフードの男の肩の上で丸くなっている。
吐き
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