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銀色の魔法少女
第二十二話 レイ・テスタロッサ
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side レイ

 突然の突風。

 その風で、ビルの屋上に飾られていた看板が落ちる。

 迫り来るそれを、普通の人間の俺がよけられるはずもなく、押しつぶされる。



 これが、前世の俺の、最後の記憶。

 けれど、奇跡が起きた。

 何もない真っ白な空間で、金髪碧眼のたくましい老人、ゼウスが俺の前に現れた。

「主が――で間違いないな」

 確かにそれは俺の名前だった。

 そうわかるのに、聞こえない。

「ああ、主は死んだからの、死んだものは名前を剥奪される、特にここは転生のための空間じゃ、今にその体も消えるじゃろう」

 転生ということは、俺は生まれ変わるのか。

 声が出ないのに、相手に伝わる。

「如何にも、主は次の世界に生まれ変わる、この作品じゃが、主は見たことあるじゃろ」

 そう言って、彼は懐からDVDを取り出す。

 …………は?

 目を疑うけど、確かにそこには『魔法少女リリカルなのは』と書いてある。

「そうじゃ、主はこの世界で新しい人生を歩むのじゃ」

 そう言って、彼は紙を渡す。

「それが主の転生後の詳細じゃ、意見があるなら言うといい、変えられる範囲は限られておるが、変更はできるぞ」

 この下の三つの空欄は?

「ああ、それか、それは主に与えられる三つの特典じゃ、特殊な力、脳力アップ、体質など、こちらには比較的制限がない」

 比較的?

「ふむ、例えばじゃ、特典に『この世界の所有者』など書いてみろ、物語がすぐに終了してしまうわ、そう言う卑怯な手段を封じるために、数にも効果範囲にも制限が設けられておる」

 ふーん、

 俺は迷わず三つ書き込む。

 魔力吸収、フェイトの兄として生まれる、SSランクの魔力。

「まあ、こんなものじゃな」

 彼がそう呟いた時、足元が消え始める。

「どうやら転生の準備ができたようじゃ、ほかの転生者もいてやりづらいかもしれぬが、そこは主の好きにするが良い、これがそのゲームの醍醐味じゃ」

 ゲーム?

「そう、ゲームじゃ、わしらは主らが織り成す物語を天界から鑑賞しておる」

 そう、ゲームなんだ。

 この時を最後に、俺の体は消える。



 次に目が覚めたのはガラス管の中、予想通り、アリシアの実験体として生まれ出たようだ。

 ちょうどいいことに、体はだいたい五歳児。すぐに動ける。

 今度こそ、俺は――を手に入れる。



side ALL

「種を明かせば簡単じゃ、こやつの魔力吸収には限界があった」

 遼は、手に取ったエアを片手に説明する。

「処理限界を超える魔力をこの回転する刃で散らし吸収しやすくする、これがエアの
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