第十八話 三体と二人
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ンの拳は、肉体を破壊するため一撃放とうとする。
三者三様だが、互いが殺し合いのために持つべき物を駆使し、命を狩りに来ている。
その戦いを、アーチャーのマスター……アスナはただ茫然と見つめていた。
人知を超えた戦い。
アスナはその時、自分自身の無力さを実感していた。
三人の戦闘はそれほど激しい。
まるで人間大のハリケーン同士が正面衝突しているかのようだ。
その一振りが突風を起こして木々を大きく揺らす。
戦闘の余波だけで周囲の空気が揺れ、衝撃が伝わってくる。
この戦いに、一般のプレイヤーである自分が介入する余地なんてない。
それどころか、近づいただけでその余波を食らい、HPを0にする……つまり死ぬ事になるだろう。
アスナはそう思った。
「……っ!」
ふと、視線を感じた。
殺し合いの最中、何故そのような視線を感じたのかは分からない。
ただ一つ言えるのは、それは敵意が向けられているわけではないという事。
正面へと目を向けた。
アスナの視線の先。
そこに彼女に目を向けていた少女が居る。
ランサーのマスターであるサチは、自分のサーヴァントであるランサーが交戦中にも関わらず、アスナへと視線を向けていた。
アスナはその目線に、思わず言いようも無い感情を覚えた。
憐みにも似たような感情。
サチの眼は、感情をほとんど宿していなかった。
先程、アサシンが来た際には感情を少なからず出していたのだが、今はその感情すら読み取れない。
どこか悲しい眼。
自分が何をしているのか……。
何をすれば良いのか分からない。
そう訴えかけているようにも見えた。
「なんで……」
アスナの口からそのような言葉が漏れた。
それは本能的に出てきた言葉。
「なんで貴女はこんなことを…」
アスナは問いかける。
目の前の少女……サチに。
サチは静かに眼を閉じて、口を開いた。
「私は、聖杯を手に入れる」
眼を開きアスナを真っ直ぐ見つめる。
アスナは体中から鳥肌が立つような感覚を覚えた。
絶対的な覚悟の眼。
何が何でもやり遂げて見せるという、覚悟の眼を……。
「聖杯を手に入れて、私は全てやり直す。みんなで笑いあった日常を、取り戻してみせる」
サチは言った。
自ら聖杯を手に入れると。
やり直してみせるという自らの願いを。
「だから、倒して。ランサー!!」
サチは自らの従者に命令を下した。
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私は彼女の言葉に思わず寒気を覚えた。
彼女の眼つきは本物だった。
最初は無感情で私を見つめていた。
だけど、私の本能的に出てしまっ
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