55話「第二次本戦 (2)」
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空けた地へ着地したロボは、へへっと笑いながら鼻の下を拭った。
アシュレイは溜め息を零しつつ剣を握る右手をぶらぶらと振った。真上に跳んだロボが間合いの外まで後退したのは、彼の剣先をナックル部分で押し返したからだ。
(“押し返す”なんて、生易しいものじゃないな)
勢いよく突き出した剣にタイミングを合わせて拳を出された。剣が割れるかと思ったのは、嘘ではない。
ぽんぽんと剣の腹を手のひらで叩き、状態を確認。ロボも肩をバキバキ鳴らし、気合いを入れ直した。
「ったく、このあとまだまだ試合があるのに…」
「悪ぃな! 安心しろ、俺がお前の代わりに優勝してやるからよ!」
「それはそれは――」
キラリとアシュレイの黒の眸が光った。
「――大層な自信だことで!」
「ッ!?」
赤い血が空に舞う。
ロボの細い目が見開かれた。 アシュレイが一瞬で近づきロボの両腕に浅くない傷をつけたのだ。
(危ねぇ…)
獣人の第六感で咄嗟に腕を犠牲にしたが、もし間に合わなかったら、
(俺の首が飛んでいた)
ロボの前に立ち挑発的な笑みを浮かべているアシュレイを見やる。一見隙だらけのように見えるが、見る者が見れば、そんな隙など欠片も無いことが分かる。試合開始直後もそうだった。どこから攻めれば落とせるのか皆目見当もつかない。しばらく動きがなかったのはその為だ。
ダラダラと滴る血を長い舌で舐めると、ロボはニヤリと笑った。くじを引いたあと、アシュレイに向けたあの好戦的な、野性的な笑みだ。
「……楽しめそうだぜ」
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