3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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もなく双子は理解し、お互いに鼓舞しあっていた。
「もうひとふんばり、行くよ、みー!」
「わかってる! あとちょっとやったら、おやつの時間なんだから!」
「……あとで僕にもおくれよ」
「いいよ!」
汀持参のリュックの半数を占めるお菓子は、ベースキャンプにしっかり鍵付きで置いてある。そこで自分もというあたり、まだまだ岬も可愛いものだ。思わずくすっと笑みがこぼれた。
天井に張り付いたギギネブラは全身で反動をつけながら毒弾を狙い撃つ。菖蒲を誘導して壁際を走り、凪達2人はエリア2へと避難した。
今まで凪がエリア4に留まっていたのは双子がピンチになった時に駆けつけるためだ。あそこまで安心できる戦いっぷりをみたらその必要もないだろうと、今度は菖蒲の身の安全を優先する。
(想像したよりギギネブラも脅威ではなさそうだし)
ファンゴを片付け、氷の壁を背に預けた。菖蒲はここぞとばかりに腰を下ろす。
「ここなら視界もいいし、急襲される可能性は低いですから」
「にしても寒ィな。ホットドリンク飲んでこの寒さかよ」
「我慢してくださいよ、菖蒲兄。4人の中で一番厚着なんですからね、それ」
「んなこと言ってもなあ……クソガキ、おめぇ本当に寒くねぇの?」
「うーん、正直言うと、やっぱりちょっと寒いかも。もう1枚持ってくれば良かったかな」
ため息をついて菖蒲はホットドリンクのコルクを抜いた。毛布が恋しいなどと女々しい言葉を吐きながら、ちびちびとそれを飲んでいく。
その時だった。
バサッバサッ
ハンターなら耳慣れた羽音。
空気に抵抗して、何かが空より飛来するその音。
「あれ、エリア移動してきたのかな」
「洞窟の方からあいつら、来ねぇけど」
「仕方ない。菖蒲兄、そこから動かないでくださいね。あ、流れ弾とかは頑張って避けてください。それくらい、運動神経悪いわけじゃないし、大丈夫でしょ?」
「ったく、そこは『命をかけても守るから』とか言うべきだろ」
「嫌ですよ。そんなの男に言うなんて」
「お前な……」
苦笑した菖蒲を背に、凪はポーチに手を突っ込んだ。
地に降りた飛竜。頭と尾の二口を大きく開けたバインドボイスは、しかし竜の悲鳴に取って代わった。
「お前のそれさ、うるさくて好きじゃないんだよね」
経験したことのない痛みにのた打ちまわるギギネブラに、吐き捨てる。
丸い口に投げ入れたのは、栓を抜いたホットドリンク。トウガラシをたっぷり使って作られたそれは、言いようもなく辛い。にが虫で辛味成分が助長されているから、尚辛い。
辛さとは舌にあたる刺激、すなわち痛みである。竜の味覚は人程優れてはいないが(デュラクで実証済み)、辛みは4種の基礎感覚―――塩っぱい・甘い・酸っぱい・苦いの外
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