3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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二つになったギィギの死骸。そのグロテスクさにやや眉を潜めた菖蒲が、嫌そうに一歩後ろに下がった。周りを見渡して這い寄ってくるギィギを始末し終えた凪は、熱くなった刀を鞘に収め、再び弟妹の狩りの傍観に戻った。
汀がキモいキモいと連呼したくなるのもわかる。確かにアレが自分に向かって突進してきたら、相当、キモい。
口を開けるたびに中から覗く、やすりのような細かい歯で削るように捕食するのだろう。自分がいったいどんな風にして死ぬのかなんて、カミサマでもないかぎり誰にも分からないが、お願いだからギギネブラに喰われて死ぬのだけは嫌だ。特に、生きたまま。いっそレウスに火ダルマにされるとか、ドボルベルクに踏み潰されるとかの方が、まだマシだ。いや、火ダルマも嫌だな。暑いのは嫌いだ。服がじっとり肌につく感触が気持ち悪い。ならベリオロスで雪だるまか。それもなぁ。一番楽な死に方はバギィの睡眠中に捕食されることだと聞いたが、なるほど確かにそうかもしれない。それも、ただのバギィだと捕食中に痛みで目覚めることがあるらしいから、念には念を、ドスバギィを推奨する、とかなんとか。ちなみにここら辺の知識は気が向いた時にルイーズがヨルデ村から盗んでくる雑誌からである。
「それにしても、ギギネブラって案外小さい飛竜なんだな。ドスジャギィと大して大きさ変わらないんじゃねえの?」
「たしかに。……小金冠サイズかな」
小さく呟いた凪の言葉は、突進を避けるため駆け出していた菖蒲の耳には届かない。
凪自身ギギネブラという飛竜を見たのはこれが初めてなので何とも言えないが、確かに他の大型竜と比べると一回り、あるいはふたまわりサイズが小さいように感じた。
おまけに聞いていた程毒攻撃を仕掛けることもなく、戦い始めてからも、まだ1回も産卵をしていない。やはりあの2人の嫌悪が生み出す過剰な説明だったようだ。客観的な説明ができないのはハンターとしては欠点に入るが、まあ悪い方に過剰に言った分には、いいだろう。逆よりマシだ。
目の前に散らばるギィギの死体をなるたけ目に入れないようにしながらそんなことをつらつらと考えているうちに、だんだん2人の動きのキレが悪くなってきた。疲れが出てきたのだ。
(そりゃそうだよな。まだ14歳なんだから……)
大剣とハンマーなんて重いものを持って、あそこまでテキスト通りの戦いが出来るだけで賞賛に値する。
自分が14のときはどうだっただろうかとまた回想にふけりつつ、また刀を一閃。背後から凪めがけて跳んできたギィギは銀の太陽の炎に身を焼かれた。
2人が戦い始めてかれこれ3時間が経った。
時折竜を追って戦うエリアを変えつつ、双子は確実に毒怪竜を追い詰めていった。証拠は、ギギネブラのその口からだらだらと垂れる涎だ。好機。
もちろん凪がそれを言うまで
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