3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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いるという緊張感を感じさせることもなく進む。コートの襟を立てて足早に進むその背は、凪に自分の身の安全のすべてを預けていた。
『怖い? ンなわけあるか。お前が身体張って守ってくれんだろ、クソガキ』
そりから下りながら凪に言った台詞は、聞いたほうが気恥ずかしくなってしまうほど純粋で真っ直ぐな言葉だった。思わず頷いてしまうほどには。
(そんなこと言われたら、雪煙も浴びさせずに返してやるさ)
凪が身の毛がよだつような不気味な何かの存在を認識したのは、打ち合わせ通りエリア4。天井に何かが張り付いているのを確認するやいなや、凪は菖蒲の耳を塞いだ。
ギョエアアアアア!!!!
“ギギネブラは敵を発見すると同時にバインドボイスを繰り出す”。事前に双子に言われていたことだ。
耳を塞がれていても菖蒲は目を白黒させていた。耳鳴りがするほどの静寂が満ちる雪の中から、突然洞窟中に響き渡る、それも普段聞きなれていない竜の蛮声を聞いたのだ。ハンターですら耳を塞ぎしゃがみ込むほどなのだから、無理もない。
双子は声から立ち直ると同時に走り出した。ビダンッと地面に降りた(落ちた、に近いかもしれない)ギギネブラの頭にクック装備に身を包んだ汀の渾身の一撃が穿たれる。クルペッコの火打石がふんだんに使われたフリントポウク改はインパクトと同時に発火し、青白くぬめる皮膚を焦がした。
間髪いれず幅広の両刃の大剣、バルバロイブレイドが火を噴きながらギギネブラの頭を直撃した。同じく赤いクックシリーズで身を鎧った岬だ。
2人の重い連撃をものともしない毒怪竜はぐぐっと身を持ち上げると、ぬらぬらと揺れる赤いひだを2人に見せつけた。
「引け!」
岬が叫ぶとほぼ同時、あるいは一瞬速く2人は転げるようにネブラの尻尾の方へと前転した。直後2人がいた場所をボディプレスが襲う。
ぎりぎり避け切れた汀が横殴りにハンマーをギギネブラの尻尾に叩きつける。すぐ縦振りに三連撃すると力を溜めたまま走り一時ネブラから距離をとった。
竜が汀に気を取られている間に岬はネブラからちょうど一歩分離れたところで大剣を振りかぶり力を溜め、その場で回転して自身に狙いを定めた不気味な頭に渾身の一撃を見舞う。血が飛び散りクックの赤を更に深めた。肉質の柔らかい頭を深く切り裂かれた竜は、大きくのけぞりながら悲鳴を上げた。
武器を振るっては後退し、安全かつ着実に相手の体力を奪う。教科書通りの堅実な戦い方に、見ている凪も気が楽だ。横で無表情にその戦いを見る菖蒲は内心ヒヤヒヤだろうが、と右隣を見て、慌てて刀を抜き払った。
「うぉっ!! な、なんだクソガキ、ついに俺を見限って切り捨てる気かオイ!?」
「違いますから、落ち着いてください菖蒲兄。今斬ったのは…」
真っ
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