3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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切なくなった。まだ40歳になってないのに“おじさん”とは……切ない。
そんなことを考えているとはおくびにも出さず、凪は平然と頷いた。
「ああ。頼んだよ、岬」
「みーの勇姿見ててねにぃちゃ!」
「ああ。危なくなったら勝手に割って入らせてもらうからな」
「はい。後ろにいても毒ブレスは結構遠距離まで届きますから、菖蒲おじさんのこと頼みます」
「任せろ。いざとなればまあ風圧で毒ガスなんざ吹き飛ばしてみるさ」
「た、頼もしいです……」
岬は兄が一体どんな方法で風圧を起こすのか分からなかったが、この兄がやると言ったらそれはもう竜の羽ばたきのような風圧を出すのだろうと思った。
(流石凪兄さん…! かっこいい……!)
弟からの尊敬度がアップしているのには全く気づくことなく、採取ツアーのつもりで来たため必要な道具がほとんどないことに気づいた凪は舌打ちしつつ町の道具屋にお世話になった。解毒薬30個1800z。回復薬も全員分買っていく。できればハチミツも入手してグレートを調合したかったのだが、町民のなじみの商店でもハチミツは生憎と売り切れだった。一気に懐が寒くなるが、命がかかっているのだから四の五の言ってはいられない。
その後装備、道具の点検をしたあとに菖蒲を起こした。不機嫌な顔にマフモフブーツとミトンを放り投げる。持ってきていたのはこれだけだが、それでも随分違うだろう。一式持ってこなかったのは惜しかった。が、もともと菖蒲がこの狩猟(最初は採取ツアーのつもりだったわけだが)についてくるつもりは全くなく、更にユクモ地方は基本的に温暖な為、彼らがマフモフを持ってきたことだけでも驚きだった。真相は冷え性の真砂が足先と指先を温めるために持ってきた、とのことである。
ギルドに頼んでガウシカの毛皮でできた温かいコートを借りると菖蒲に着させる。アイルーなどがいれば彼らを抱えるだけで随分暖かいのだが、と考えたところでふとルイーズのことを思い出した。
今回ルイーズは連れてきていない。
彼女が寒いのが苦手というのもあるし、村の主力ハンターであるオディルとカエンヌが負傷している今、いつ何時また先日のファンゴ襲来のようなことが起きるともわからない。嘘か真か、“竜鱗病患者は竜を招く”という噂もある。そんな馬鹿なとも思うが、火のないところに煙は立たぬとも言うし、ルイーズには万一のときのデュラクと人間側の架け橋になってやるよう言っておいたのだった。
受け入れられたとはいえ、迅竜であるデュラクに人はそう簡単には近づかないだろうし、村人の中では最も彼になついているリーゼロッテとエリザでもまだ表情を読み取るには至らない。ナギを除けば唯一、ルイーズはデュラクと意思疎通が測れる。本猫曰く“ニャ〜んとニャ〜くだけど、わかるニャ〜”のだそうだ。実に結構なことであ
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