3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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起こせ。それから俺こっちのベッドがいいから。いいな、クソガキ」
「はいはいどうぞ」
ツインベッドの部屋を2つ借りた一行だったが、もちろん分け方は凪と菖蒲、汀と岬である。実はここでひと悶着あって、汀が凪と一緒がいいとか駄々をこねたのだが、まあ語るも詮無きことである。
これから慣れていないであろう治療とはまた違った生命のやりとりの場へと赴く菖蒲には、少しでも英気を養ってもらわないと困る。
そんな彼に気を使って若干小声になりながら、凪は2人の決して多いとは言えない戦闘経験からのアドバイスをもらった。
「なんかね、とにかくキモイのっ! グネグネブヨブヨブニブニしててっ。しかも尻尾と頭が一瞬見分けつかない上にびよぉ〜んって伸びてさあ! あれ予想外に伸びるから注意だよ。みー初めて狩ったときそれで吹っ飛ばされてぇ……トラウマ」
「しかも執拗に毒攻撃を仕掛けてくるんです。遠距離にいても毒ブレスも飛ばしてきますし、着弾すると毒霧になって暫くあたりに漂うし。おまけにそれ、視界も奪われるから注意が必要です。暗闇を好んで、視力は無いので閃光玉も効きません。基本的に洞窟で戦うことになるかと思います。バインドボイスも洞窟だと余計響くから注意ですね…」
「あ、あとそれのせいで上から落ちてくる氷柱とかも危ないの。気をつけてね」
「とりあえず留意するのはそれくらいかと……ああ、もう1つ。ギギネブラは非常に繁殖能力が強くて、ハンターと戦ってる途中でも平然と産卵をします。卵塊からはだいたい5、6匹のネブラ幼体――つまり、ギィギが生まれます。喰らい付かれるとどんどん吸血してきますから、地味に痛いし貧血になるし鬱陶しい上にキモイです。病原菌とか持ってそうですしなんというかこう生理的に嫌悪感がじゅくじゅくと」
「なるほどわかった。もういい、ありがとう」
汀は兎も角、そういうのには平気そうな岬もギィギの話をしたときは顔を青くし、口をへの字に歪めた。絵で描いたら2人の丸くなった背中に、青い淀んだ空気がまさに“どよーん”と乗っかっていることだろう。
とりあえず一番に必要な覚悟は、汀曰く“キモさにビビってピシッとならないこと”だそうだ。直後言い直した岬からは“一番危険なのが豊富な毒攻撃。また洞窟の天井を活かした三次元の攻撃”と言われた。
……双子のはずなのにこの2人の言語能力の差は一体なんなのだろうか。思えば昔から岬は賢い子であったが、月日が経っても汀の頭の弱さは変わらないどころか気のせいか拍車がかかっている気がする。
「じゃあ、今回は僕たちがネブラを狩り、兄さんがおじさんの護衛ということでいいですか?」
(そうか、14歳にとって菖蒲兄は“おじさん”なのか…)
妙なところで感慨にふけりそうになった凪は、同時になんだか
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