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とあるβテスター、奮闘する
裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、祈る
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気がする。
気が付いたら二人とも渾名で呼び合ってるし。
なんか妙な連帯感みたいなものを醸し出してるし。
買い物しながら雑談でもしていたんだろうか。

どうでもいいけど、アルゴなのに『るーちゃん』というのはこれ如何に。
アスナと被るからなのかとも思ったけど、それを言ったらリリアと妹さんも被ってるしなあ。
結構な時間を一緒にいるけれど、シェイリのネーミングの法則は未だによくわからない。
男の人を渾名で呼ぶところは見たことがないし、女性限定なんだろうか。
いやでも、そうなるとリリアをちゃん付けで呼ぶのは───あ、単に面白がってるだけか。

「えへ、ユノくんには内緒ー」
……そういえば僕、初めて会った時からずっとこう呼ばれてるなあ。
まあ、最初にそう呼んでくれって頼んだのは僕だし、そのほうが何かと都合がいいんだけど。

「まア、同じ乙女同士ってことで色々とナー」
「いろいろお話したもんねー」
「ネー」
「………」
なんだろう、何か無性に怖い。
僕のいない間に、あることないこと言われてたらどうしよう。
そのうち二人だけでこれ見よがしに内緒話とか始めちゃって、僕のほうをチラ見しながらクスクス笑ったりするようになるんだろうか。
もしそんなことになったら───あ、やばい、想像したら泣きそうになってきた。
あとアルゴ、乙女は人の弱みに漬け込んで金銭を巻き上げたりはしないと思う。

「とまア、そろそろ本題に入ろうカ。例の鍛冶師の件だヨ」
「あー……」
そういえば。
色々なことがあって忘れていたけれど、そもそもの目的はアルゴの助手(という名のパシリ)として、裏通りの鍛冶師の正体を探ることだった。
うーん、どう説明したものかなあ。

「……、結果だけ言うと、アルゴが嫌ってた男がリリアだった」
「ハ?」
少し迷った末、単刀直入に言ってみた。
やはりというかなんというか、アルゴは呆けた声を発しながら僕のことを二度見してくる。

「だから、アルゴにセクハラした店番の男がリリア本人だったんだよ。裏通りの鍛冶師リリア」
「……ユー助はあの男が女に見えるのカ?SAOに眼科ってあったっけナ……?」
「君の心中は察するけど、現実逃避はお勧めできないよ」
「………」
絶句、といった様子で硬直するアルゴ。
そりゃあ、まあ、当たり前の反応だろう。
名前だけ聞けば、誰もが女性プレイヤーだと思ってしまうに違いない。
まさか自分にセクハラしてきた目付きの悪い男が、巷で噂の女性鍛冶師の正体だとは思ってもみなかっただろうし。


「──そんなわけで、ソロから鍛冶師に転向したらしいよ───って、アルゴ?」
「………」
「……あの、アルゴさん?」
と、忠実に職務を全うした僕は。
目の前の小柄な情報屋が、プルプルと小刻み
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